自宅で食べるラーメンの進化
少し前まで、ラーメンを家で
食べようと思うことはほとんど
なかった。
作るのが面倒というのも勿論
あるが、何より美味しいものを
作るのが難しい、というのが
その理由。
学生の頃からラーメン大好き、
二郎に並んだことも数知れず、
当時は雑誌で紹介された名店を
訪れて自分なりにスコアを付け
てみたりもしていた。
環七通り沿いにあった土佐っ子
やなんでんかんでん、当時まだ
東京では三宿にしかなかった
天下一品、荻窪の春木屋、、、
改めて見ると、脂ギラギラの
ガッツリ系がやたら多い気が
するが、色々食べ歩いたのは
懐かしい思い出だ。
しかし、最近は家で食べることの
できるラーメンの進化が著しい。
スーパーに置いてある普通の商品
も全くもってバカにできない。
一昔前の感覚でいると、良い意味
で裏切られた感覚になる。
直近のコロナ禍で、ラーメン屋
さんは軒並み苦汁を舐めている
のは間違いない。
レストランであればテイクアウト
対応もしやすいだろうが、
ラーメンだと麺がのびてしまって
味がぶち壊しになるため、非常に
対応が難しい。
昔は「出前」でノビノビになった
ラーメンを家で食べるなんてこと
もあったが、味にこだわっている
ラーメン屋さんがそれをやったら
おしまいだ。
私が以前足繁く通っていた、麹町
のソラノイロというお店では、
家で作れるラーメンキット
「おうちでソラノイロ」
を早々に展開し、好評を博している
と聞いている。
店主の宮崎さんは、一風堂で修業
された後に独立、私も大好物の
「ベジソバ」など、既成の枠を
打ち破る大胆な商品作りをはじめ
とする「挑戦する姿勢」にとても
共感を覚えている。
ソラノイロ以外にも、多くのお店が
テイクアウト戦場、通販戦場へと
参入しているが、なんと日清食品が
ラーメンデリバリーの戦場へと参入
したというニュースを耳にした。
宮崎店主も修行した一風堂のほか、
すみれ、ますたに、無鉄砲という
名店を揃え、さらには日清自ら
プロデュースで「豚天国」なる二郎
を意識したかのようなボリューム
たっぷりのラーメンまである。
Uber Eatsや出前館で注文できて、
お値段は1,080円から。
決して安くはないが、名店の味を
「密を避けて」かつ自宅やオフィス
に「居ながらにして」楽しめると
いう点に価値を見出す顧客が、多数
いるのだろう。
出前された後に電子レンジで調理
する必要があるようだが、逆に
言うと電子レンジで調理するだけ
で出来立てアツアツのラーメンが
それなりに高いクオリティで
楽しめるのである。
「麺が伸びる」
「スープが冷める」
といった課題を、日清食品が
「インスタントラーメンで培って
きた高度な技術力によって解決」
したというこのサービス。
自社の強みをしっかりと見据え
ながら、今の時流を捉えて
すかさず世に出していく、
その戦略策定力と実行スピードに、
さすが日清!といつもながら
驚かされたのであった。