「気質論」と、自己分析ツールあれこれ
気が合う人、合わない人。
相性の合う人、合わない人。
誰でも経験があるだろう。
これは、お互いが持っている「気質」の
違いによるものだとして、その「気質」を
かなり深掘りして我々に授けてくださる
「気質論」のセッションが、昨日行われた。
講師は、ドラッカー研究で第一線に立つ
井坂康志さん。
渋沢・ドラッカー研究会の中心人物だ。
ここ1年近く、色々学ばせてもらい、
いくら感謝してもしきれない存在。
「気質」自体、実は古代ギリシアの頃から
既に追究されてきたものである。
ヒポクラテスが提唱した、古代ギリシア
医学の「四体液説」が元となっている
というから、どれだけ古いかが分かると
いうもの。
この「気質」という言葉、英語では
Temperament
という言葉を充てるらしい。
Temper という言葉が「気性」を意味し、
怒りっぽい人をよく「quick temper」と
呼んだりするので、何となく関連性が
見えてくる気がする。
この「気質」、ドラッカーが著作の中で
時々用いている言葉だ。
(それ故、井坂さんの研究対象となった。)
そして、その使い方が、あたかも「常識」
の範疇にある語彙であるかのように普通に
使われているということで、井坂さんも
興味を持って調べ始めたのが数年前との
こと。
そのわずか数年での成果を、昨日披露して
くださったのだが、見事に体系だてて、
分かりやすく、しかもウィットに富んだ
紹介となっていた。
お陰で、内容がストンと腹落ちしたのは
もちろんのこと、時に深くうなずき、
時にゲラゲラ大笑いさせてもらう、
そんなセッションだったのである。
その見事な「体系」については、
まるで「周期表」「星座早見」のような
「気質表」を制作されており、
それを見れば一目瞭然なのだが、
勝手掲載をするのは問題があるので
ここでは文字で説明をする。
私なりに要点をまとめると、
以下の通りである。
気質とは、個々人の生物的な傾向。
容易に変わらないし変えられないので、
どのように上手く利用するかを考えて
やる必要がある。
「自分」には二面性があり、
外面、ペルソナとしての自分と、
内面、人格、個としての自分は異なる。
気質は、後者に属するものである。
良し悪しではなく、あくまで価値中立的、
この内面に関わるという意味で「強み」と
相関関係が強い。
四種類の気質が存在し、誰もが全ての
要素を持っているが、どれが色濃く
出ているかは人それぞれ。
その四種類とは、以下の通り。
【多血質】「人生はお祭り」
外交的で、サービス精神旺盛。
おしゃべりで、表情豊か、ノリも良く、天真爛漫。
のびのびとした筆跡。
【胆汁質】「人生は戦い」
外交的で、上から目線、主導権を取りたがる。
すぐ怒り、高圧的、強引で、意外とコロッと忘れる。
朝からテンション高く、筆圧は強め。
【憂鬱質】「人生は修行」
繊細で神経質、消極的に見えるが、実は内面に熱いものを秘める。
事実と論理を重視し、納得しないと動かずに消極的抵抗を試みる。
小さくてきれいな字を書く。
【粘液質】「人生は旅路」
やや内向的で、落ち着いており、マイペース。
共感力、傾聴力があり、記憶力も優れるが、頑固。
丁寧で丸みのある筆跡。
面白いのは、意外と本人は自分の気質を
性格に把握できていない点だ。
自己認識と他人からの評価が、往々にして
ズレるのである。
ある程度正確に知るためには、家族や仲の
よい友人に、忌憚のないフィードバックを
もらうのが良いだろう。
私自身は、最後の「粘液質」だろうと
自己分析している。
100%そのままではないが、かなりの程度
当てはまるなぁと思いながら聞いていた。
そして、他の気質については、
「あぁ、あの人が典型的胆汁質だな」
「なるほど、だから井坂さんは自分を
憂鬱質だと言っているのかぁ」
「ナポレオンが多血質、確かに!」
などと実在の人物に当てはめながら
聞いていたら、あっという間の二時間
であった。
この「気質論」、分かりやすいのが何より。
概ね、どの人がどの気質に当てはまるかと
いうのが、外面から判断しやすい。
自分の苦手な気質の人とは距離を置く、
こういう気質の人は味方につけておきたい、
といった「人生戦略」を立てる上で、
大変に役立つツールである。
この手の「自己分析」ツールは、
先般ここで紹介したMBTIをはじめ、
様々な種類があり、どれも一面の真理を
突くものばかり。
最近流行り(?)のストレングス・
ファインダーもまた、大変に優れた
ツールである。
人間が持つ「資質」を34に分類して、
そのうちのどれが自分に強く当てはまる
ものなのかを知り、上位資質を「強み」
として活用していこうとするものだ。
また、私が社会人になりたての頃に
メンター的存在の方から教わったのは、
「交流分析」という心理学の一分野。
これは、心理療法の一種で、人と人との
やり取り=交流を分析することで、
そのクセを見抜き、より望ましいやり取り
ができるようにと導く技法である。
私の場合、ストレングス・ファインダー
で言う「達成欲」「学習欲」が、
1位と2位を占めている。
そのため、あれこれ学んでは、
それを生かして物事を成し遂げたい!
という欲が殊のほか強く、ちょっと
あれこれ首を突っ込みすぎではないかと
いう自覚もある。
とはいえ、どの手法にしてもやはり
一長一短があり、適切な場面で適切な
手法を取り入れることができるように
考えて実行するのがベストだろうし、
自分の目指すところ。
どれもこれも中途半端にならないよう、
そして何より「学んで終わり」では
なく「使ってナンボ」ということを
意識し続けるのが大切だ。