如何に検索してもらうかに知恵を絞る
こちらでも何度か紹介していて、
つい最近も書かせてもらった、
「パーチェスファネル」
という考え方がある。
お客様がモノやサービスを購入するに
至るまでの順番、流れを、逆三角形の
漏斗に見立てたものである。
認知、興味、行動、比較、購入
という具合に遷移していく中で、
お客様が如何にスムーズに各関門を
突破してくれるかに、マーケターは
知恵を絞る。
興味を持ってくれれば、次の行動に
移ってくれる確率が高まる。
行動というのは、より具体的に言えば
調べること。
検索したり、お店を(で)探したり、
人に尋ねたり、そんな行動を通じて
自分が購入するべきかどうかを決める
ための情報を集める訳だ。
今の時代、ほとんどの人がスマホを
片時も離さずに持ち歩き、ヒマさえ
あれば画面とにらめっこしている。
だから、何か興味を惹くことがあれば
即座に検索!となるわけで、検索を
してくれるようにみんな知恵を絞る
ことになる。
そんな、検索の促進を意識した試み
には様々な例があるが、先日新聞で
見た実例にこんなものがあった。
今クールで始まった、柴咲コウ主演の
テレビドラマの広告である。
「25年の空白を埋めるクロスワード」
と題して、クロスワードパズルの答え
を検索キーワードとして指定すると
いう内容。
ドラマのキャッチコピーが、
「すべてが変わった25年後の世界に、
眠り姫が目を覚ます。」
となっているので、25年間こんこん
と眠り続けた女性がついに目覚めて、
あまりの世界の変わり具合に戸惑い
ながら、様々な事件を引き起こして
いく、そんなストーリーなのだろう。
そんなストーリーに合わせて、
ここ25年の間に起きた出来事が
答えになっているクロスワードを
作ったようだ。
さて、こんなクロスワードの広告を
出稿した側の意図はどこにあったの
だろうか?
最終ゴールは、このドラマを実際に
TVで観てもらうことにあるのは疑い
ないところ。
その手前、いかに興味をそそり、
「検索する」という行動に移って
もらえるか、そこの部分の勝負だと
いうことも明白だ。
ドラマ自体が面白そうに見えなけれ
ば興味を持ってもらえず、検索して
みようという気になりにくい。
面白そうに見せるには、
・ドラマのあらすじを見せる
・主人公(人気俳優)を立てる
・コピーであおる
などが定番だと思われる。
今回クロスワードを用いたのは、
ドラマのあらすじをただ見せるより
も、よりインパクトを持たせる、
あるいはより興味をそそるような形
にしようとこだわった結果なのだと
思われる。
それにしても、かなりの奇手だ。
・よほどのパズル好き
・時間が有り余っている
・新聞を隅から隅まで読む
・何か変わったものが好き
そういう類の人たちでないと、
わざわざパズルを解いて検索する
という手間をかけてはくれまい。
この広告が出た日は、朝から何だか
不可解なものを見せられたような
心持ちになったのであった。
柴咲コウの主演、というだけで、
多くの人が検索する話題性は十分
あったのではないか。
実際の消費者の反応は正直言って
分からないとはいえ、個人的には
このクロスワードのお陰で、本来
検索してくれたであろう人たちの
検索を相当程度失った、と仮説を
持っている。
初回の世帯視聴率は11.1%(関東)
と二桁のスタートを切ったらしい
『35歳の少女』。
ドラマ自体に実力があれば、
口コミで徐々に視聴率も上がって
いくだろう。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。