令和の家庭の実状に合わせた鍋の提案
家族団らんで鍋をつつくという場面が、
昔ほど頻繁ではなくなってきている
印象があります。
たまたま自分の家であまり鍋料理を
しないということもありますが、
そんなバイアスを除いたとしても、
みんなで鍋をつつくという習慣自体が
かなり減っているのではないかと推測
されるのです。
材料を準備して、食卓でぐつぐつと
煮込むだけなので、比較的準備が楽な
料理ではありますが、大人数で食べる
前提があるので、平成、令和と時代を
経るにつれて、なかなか選びにくい
メニューになってしまったと言えるの
ではないでしょうか。
というのも、家族構成にもよりますが、
共働き夫婦が多く、子どもが大きく
なれば、習い事だの部活だのも増えて、
家族同士の夕食の時間を合わせること
すらなかなかままならない、そんな
時代になっているからです。
そんな状況に合わせて、鍋の調理法も
進化しているのだということを伝える
味の素の「鍋キューブ」のWeb CMを
見て、なかなか面白いところを突く
なぁと感じました。
最初に出てくる15秒/30秒のTV CMは、
ごく普通の4人家族が鍋をつつく設定。
こちらは、従来のセオリー通りな印象
ですよね。
これに対して、次に出てくるWeb CMの
方は、「令和の家族は鍋キューブ」と
タイトルが付いている通り、先ほど
説明した今どきの家族が夕食時に揃い
にくいという状況を逆手に取った内容と
なっているのです。
「家族一緒に食べるのむずかしい説」
という言葉とともに、
週一で「ひとり晩御飯する子ども」が
55%にものぼるというデータが、
動画の中で示されていました。
父親役の阿部サダヲが大げさすぎる
きらいはありますが、
15秒や30秒という短いフォーマットの
TV CMよりも長い60秒という尺を上手く
活かして、「鍋キューブ」という商品の
特長を効果的に伝えている動画だと
感じた次第です。
「第2夜」の動画では、同じ
「家族一緒に食べるのむずかしい説」
という言葉に続いて、
夕食に家族がそろわない日が平均で
3.3日/週もあることが示されて
いました。
そんな日であっても、「鍋キューブ」を
使うことで、簡単に鍋を「復活」させて
後から帰って来た人に簡単に鍋料理を
振る舞えることを訴求しているのです。
きっと消費者が感じているはずで、
しかしながら明確に意識はしていない
かもしれない「本音」の部分を指摘し、
その「本音」からもたらされる問題点を
解決する策を提案するという、
いわば教科書通りの流れでつくられた
Web CMでした。
この週末は、11月とは到底思えない
暖かな気候でしたが、天気予報によると
今週はいよいよ本格的な冬らしい寒さが
到来するようです。
お気に入りの鍋をつついて、身も心も
暖まる時間を過ごしたいものですね。