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与えられた条件の中で知恵を絞る

シャトレーゼホールディングス
齊藤会長へのインタビューを、
日経MJで見かけて記事にしたのが
2か月ほど前。

今度は、愛読している月刊誌
『致知』5月号でも登場。
米寿を超えて、今年89歳になっても
まだまだバリバリ現役の氏が、
非常に注目を浴びていることが
感じられる。

内容的には、かなり日経MJとかぶる
ところもあったが、『致知』の方が
当然ながら掘り下げ方が深い。

まず興味深かったのが、
「三喜経営」に徹しようという
社是とその原点。

一、お客様に喜ばれる経営
一、お取引先様に喜ばれる経営
一、社員に喜ばれる経営

近江商人のいわゆる「三方よし」
ほぼ同じ考え方ながら、齊藤会長は
これを両親から教わり、常に大切に
しながら前進してきた
という。

そして、この順番が大切だとも言う。
まず真っ先に考えるべきはお客様。
これが第一優先。

そして次に取引先が来て、
最後が自分たち社員だというのだ。
徹底した「利他」を説く点で、
ここでも都度紹介して来た
稲盛さんの考え方や、
伊那食品の塚越さんの考え方と
共通している。

更に言えば、この考え方を
お題目だけで終わらせず、
いかに実践に落とし込むか
こだわっているご様子が伺えた点、
今も現役で活躍する氏が、
いかに現場で丁々発止をやり続けて
いるかが目に浮かぶようであった。

内容が非常に面白くて、
ついすべて紹介したくなるのだが、
今日はもう一つだけ。
会社の最初の危機を、どのように
乗り切ったのか
というエピソードを
取り上げたい。

甲府で焼き菓子店「甘太郎」
経営を手伝い始め、行列が絶えない
繁盛店にしたものの、温かい食べ物
なので夏場にはさっぱり売れない。

この弱点を解消すべく、
アイスクリームに目を付けた。
問屋からの仕入販売ならば、手元
資金は大した額にならなかったはず
なのに、無謀にも多大な設備投資を
していきなり工場を作ってしまった

のが苦労の始まり。

いざ工場が操業開始したときには、
販路を卸大手に押さえられてしまい、
生産能力があっても売り先がない
という大ピンチ。

大手と競争しても勝てない。
勝つには彼らができないところ、
要は「ニッチ」で勝負というのが
氏の目の付け所だった。

日持ちしない、大量生産・大量販売が
難しいシュークリームに挑戦
すると
決め、卸大手に押さえられたルートを
介さず、直接小売店に卸すモデルで
起死回生の大成功。

冷蔵ケースを持たない小売店が多い
状況の中、そのケースすら不要になる
位すぐ売れれば良いだろう、という
「逆転の発想」から来る格安の小売
価格
で、毎日飛ぶように売れて、
ピンチを乗り切ったのだ。

ニッチマーケティングの王道的な
実践
をなさったわけだが、
勿論氏はそれを知った上で導入した
のではない。
あくまでも現場で困った末に、
知恵を絞って導き出した「窮余の策」
だったように読める。

そうやって知恵を絞ることが
大切なのだと強調する齊藤会長。
現場に近い経営者として、
あるいはマーケティング・マインドを
兼ね備えた経営者
として、
更には「生涯現役」のロールモデルとして、
是非背中を追い続けたい方である。

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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。