がんサバイバーの見事なリーダーシップ
クラウドファンディング、
通称クラファン。
この資金調達方法が一般化したのは
いつ頃のことだろう。
ウィキペディアによれば、
実に長い歴史があることが分かるが、
日本で一般化したのはここ10年程度の
こと。
ちなみに、ウィキペディアにある通り、
「クラウド」は「Cloud」ではなく、
「Crowd」=群衆の方である。
一般人からお金をかき集める方だ。
「クラウドコンピューティング」の
「Cloud」と勘違いしがちなので、
注意が必要である。
私自身、これまでに何回かクラファンに
お金を出したことがあるが、つい昨日
そのうちの一つの「お礼の品」が届いた。
「あの風プロジェクト」
という、がんサバイバーの方々が
書いた短歌集である。
無事、Amazonでの発売にこぎつけたとの
報告も書かれており、少額とはいえ
支援した甲斐があったというものだ。
支援金額に応じて、本の最後にある
「支援者一覧」に名前が載ったり、
本の冊数が増減したりしていたと
記憶している。
私の場合は、一冊手元にいただき、
リボンをあしらったとても素敵な
しおりもいただけるというコース。
早速中身を読んでみた。
短歌や俳句は、短い言葉の中に
豊かな世界を感じさせることの
できる素晴らしい文学表現。
それらの言葉に込められた背景、
気持ちに思いを致しながら、
色々な考えが頭をめぐる。
数名の方が、自分のことを
「AYA世代」(読み:アヤせだい)
と呼んでおり、聞き慣れない言葉
だったのですぐに調べた。
AYAとは、
「Adolescents and Young Adults」
の頭文字。
日本語に訳すと、
「思春期および若年成人」
より具体的には15~39歳の年齢層を
指している。
そして、「AYA世代」という表現を
使うときは、がんに罹患したという
文脈で使うことが多いということも
今回初めて知った次第。
がんは今や治る病気になった、
そんなことが最近は言われるように
なったものの、やはり恐ろしい病気で
あることに違いない。
ましてや、15~39歳という若さでの
罹患となれば、がん細胞の増殖も早く、
従って転移するのも早いはずで、
告知されたときの絶望感を想像する
だけで気持ちが押し潰れそうになる。
そんな気持ちを押しのけて、
自信を奮い立たせて、
このプロジェクトを立ち上げたのが
私の若き友人の奥様である
尾崎ゆうこさん。
彼女が、力強いリーダーシップを
発揮して、このプロジェクトを
見事成功に導いた。
ご自身が、正にAYA世代でのがん告知。
お子さんもまだ小さい。
大きなショックを受けたのは想像に
難くない。
しかし、同じような境遇で苦しんでいる
人たちを応援するための企画として、
この短歌集の出版というのを考えつく。
プロ歌人にレッスンを頼み、
26人のがんサバイバーを束ね、
出版に向けた段取りをつける。
クラファンを使って資金集めを行い、
見事に即日目標達成。
こうやって文字で書くと簡単に見える
が、それはそれは大変だったに違い
ないのだ。
もし自分が告知された本人だったら、
そこまで行動できただろうか?
そんなことをつい考えてしまう。
リーダーシップを発揮するとは、
正にこういうことだという
見事な事例を見せてもらった。
AYA世代がんのサバイバーだけでなく、
病気に悩み苦しむ多くの人に、
少しでも勇気を与える歌集として
広く行き渡ることを祈っている。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。