「新鮮さ」という差別化ポイントはどこまで実感されているか
2月26日の新聞に出ていた、
アサヒスーパードライの広告。
「本日店頭へ到着!」
というのがメッセージの中心
となっている。
パッケージ写真を見ると、
「2月22日製造」
とある。
店頭に届くまでたったの4日しか
かかっていない、それだけ新鮮、
できたてのうまさを味わえるのだ!
というアピールだ。
ビールの差別化ポイントには、
どんなものがあるだろうか。
色々考えられるが、思い付くままに
挙げてみた。
味わい(スッキリ、コク、旨み、苦み、麦芽感、等)
のどごし
ブランドイメージ
鮮度
泡(きめ細かさ、味)
アルコール度数
飲みごたえ
容器(びん、缶、サーバー)
価格
これらの差別化ポイントは、
消費者ニーズでもある。
そして、ニーズはTPOによって
結構変わるものだ。
居酒屋で飲む場合と家飲みでは
違うはずだし、
同じ家飲みでも平日と週末とでは
飲みたいビールが違ってくる場合も
多いはず。
給料日前と後で、買うビールの種類
が異なるなんていう人もいるかも
しれない。
そんな中、ビールメーカー各社は、
自分のブランドのアピールポイントを
絞り込んで、お客様にそのイメージを
植え付けるべく努力を続けている。
その努力の一端が、スーパードライの
場合は、この広告にある「新鮮さ」の
価値訴求に表れているというわけだ。
非常に個人的な話で恐縮なのだが、
私自身はこのアピールが全くもって
響かない。
キリン、サントリー、サッポロと
飲み比べたときに、アサヒだけが
「やっぱり新鮮さが際立つな~!」
などと思うかというと、きっと
「どれもみんな新鮮!」
という結論に落ち着く気がするから
である。
もともと、スーパードライは
「スッキリ辛口」
を売りにしてきた。
長い間これ一本でやって来たので、
もうこの切り口は飽きられた、
あるいは当たり前にすぎる、
そんな判断をしたのだろうか、
ここのところずっと「新鮮さ」を
様々な角度からアピールする方向に
転換しているのには気付いていた。
消費者が認める「価値」、
他社とは違うなぁと認める「差別化」
ポイントとして、調査などを通じて
裏付けを取り、この「新鮮さ」が
消費者の心に響くと確認している
からこその、一連の展開であるのは
間違いない。
つまり、少なくない消費者の
皆さんが、スーパードライの
「新鮮さ」という価値を実感して
いるはずなのだ。
この、「価値を実感できる」ことを
よく tangible (タンジブル)という
英語で表現する。
「触って感知できる」
「形のある」
というような意味なのだが、
tangible benefit という表現で、
「消費者が実感できる商品の良さ」
を指し示す。
スーパードライ愛好者の方は、
「新鮮さ」を tangible なものとして
捉えており、他方で私は全くもって
tangible に感じていない、
ということなのである。
確かに、樽から直接注がれる場合や、
ビール工場でできたてを飲むような
場合、新鮮さに驚くというのは分かる。
だからこそ、6缶パック包装のところに
「ビール工場 できたてのうまさへ」
なんてコピーも踊っている。
しかし、いくら配送を3、4日に縮めた
ところで、それと同等の価値を出せて
いるとは思えないのだ。
「新鮮さ」が本当に効いているなら、
単に私の志向が偏っているだけ。
でないとすると、、
杞憂であることを祈るところだ。
おまけ:Amazonを見ていたら、
最近は泡が出る「生ジョッキ缶」なる
ものが出ていることに初めて気が付いた。
特殊な「容器」を使うことで、
「まるでジョッキで飲むビール」
という新たな価値を創出している。
これは一度試さねばなるまい・・・