そもそも「会社」とは何か?
昨年11月に、ブルネロ・クチネリの
『人間主義的経営』という本を読み、
翻訳者である岩崎春夫さんご本人が
参加される読書会に出席するという
機会を得たことをここでも書かせて
もらいました。
その岩崎さんが、ご自身がCOOを務めて
いらっしゃるHOP株式会社の主催による
「抑々塾」にて、「会社とは何か」を
テーマにお話しになるということで、
きっとまた興味深いお話が聞けるはずと
ばかり、いそいそと出かけてきました。
「抑々」という言葉は、
非常にパワフルですよね。
対話、会話の中で使うときだと、
使い方によっては、
「こいつ理屈っぽいな」
「なんか嫌な感じだな」
「ちょっと面倒くさい奴だな」
と感じさせてしまう恐れもあります。
しかしながら、少なくとも自分自身との
対話である限りは、思考、思索を深める
上で、この上なく力強く、その思考なり
思索なりを後押ししてくれる言葉だと
思うのですよね。
そんな「抑々」を、
何かしらの言葉に当てはめ、
概念を解きほぐしていく会。
テーマが「会社とは何か」ということで、
普段ゆっくり考えることがほとんどない、
なかなかに深い内容です。
岩崎さんが、受講者の前に立って、
資料を投影しながらお話しになるわけ
ですが、そのほとんどが「問い」の
形をとっていました。
最初の問いが、
社屋のある場所に会社は存在しますか?
もしあるとしたら、社屋が地震で壊れ
でもしたら、会社はなくなりますか?
いや、なくならないわけです。
では、一体どこにあるのでしょうか?
といった具合に、参加者と対話を順次
重ねながら、その真相へと徐々に迫って
いくようなアプローチで、
私を含め皆さんがググっと引き込まれて
いきました。
やや我田引水的になりますが、
私がブランド/ブランディングの話を
する際にも、極めて似たような手法を
取ることがあります。
実際、「ブランドはどこにあるか?」
という質問と、先ほど挙げた
「会社はどこにあるか?」という
質問の答えは、同じなのですよね。
知っているよ!という方も多いでしょうし、
既に気付いている勘の良い人もいらっしゃる
ことでしょう。
それは、人の頭の中にあるのです。
そんな「会社」は、
ヒトですか?
モノですか?
といった質問を含め、更に多くの質問と、
それに続く対話が織りなす素敵な場を
体験してきました。
有料で行われている講座なので、
これ以上のネタバレはここで一旦
止めおきますが、こうした優良な
「問い」と、それに対して頭をフルに
回転させる時間、居合わせた者同士が
重ねる対話とそこでスパークする知、
それらの体験が何とも豊穣であったと
感じる次第です。
毎週日曜に恒例の読書会で読み進めて
いる『会社という迷宮』でも、
似たような問いを巡って、
著者の見解を輪読し、追って参加者
同士の闊達な意見交換が行われて
いますが、コミュニティが異なると
また議論の質や運びが異なるもので、
彼我の違いを味わえたのもこれまた
良い趣きでした。
岩崎さんの「抑々塾」、
次回は3月19日に行われます。
私自身はまだ仕事の調整が付くか不透明
なので、すぐには申し込めないのですが、
ご興味あれば是非ご検討ください。