「権威付け」はとりあえず疑ってみる
先日、大手町にある「実身美」にて
ランチタイムを過ごした。
先に会計を済ませるのだが、
その際、レジの脇にあったこちらの
ミニリーフレットが気になったので、
お持ち帰り。
2022年度の国際味覚審査機構による
審査の結果、
「酵素ドレッシング(プレーン)」が
「優秀味覚賞」を受賞したとのこと。
しかも、上記にある通り、総合評価90%
以上の三ツ星を獲得した様子。
改めて、「酵素ドレッシング」が
世界に誇れる味覚品質を備えている
ことが立証されて、一ファンとして
大変喜ばしい。
とはいえ、この手の「権威付け」手法は
とりあえず疑ってみたくなるのが
マーケターとしての性(さが)。
この「優秀味覚賞」というのが
どの程度信ぴょう性のあるものなのか、
気になるところ。
「モンドセレクション」の方が、
一般的な知名度は高い。
Wikipediaで恐縮だが、概要はこちらを
ご覧いただければ分かるだろう。
ここにある通り、あくまでもこれは
コンクールではない。
つまり、相対評価ではなく絶対評価と
なっている。
定められた基準をクリアすれば、
誰でも認証してもらえるスタイルだ。
応募製品の大半が金賞を獲得できている
ということで、「やらせ」なのでは?
とか、単に賞を金で買っているだけでは?
といった批判が出たのは、ご記憶の方も
多いかもしれない。
しかも、ベルギーのブリュッセルにある
民間の審査機構であるにも関わらず、
日本からの商品が応募数に占める割合が
非常に高いと指摘されている。
もちろん、それが一概に悪いことではない。
ただ、取得にはそれなりの費用がかかり、
それは巡り巡って我々消費者が負担する
こととなる。
それゆえ、このような「権威付け」を、
日本の消費者が不必要に有り難がっている
側面もあるのではないかと複雑な心境だ。
他方、個人的には初めて認識した
「優秀味覚賞」の方はどうか。
「国際味覚審査機構」
(International Taste Institute)
という名称が語る通り、
Taste=味覚に特化した評価機関である。
その点、化粧品やトイレタリーなども
カバーしているモンドセレクション
に比べ、範囲が限られている。
味覚に特化している分、特に優秀な
シェフやソムリエが、評価、認定の
作業に当たっていることを強調。
どこそこの国のベストソムリエだとか、
ミシュランで星の付いているシェフと
いった面々が、実名で紹介されている。
こちらの賞も、モンドセレクションと
同様に絶対評価である。
つまり、一定の基準を満たしさえすれば、
認証は必ず得られる。
それゆえ、モンドセレクションが受けて
いるのと同じような批判が、今後生じる
可能性がなきにしもあらずだ。
評価スコアによって、与えられる賞が
三ツ星、二ツ星、一ツ星となっている点も、
モンドセレクションの金賞、銀賞、銅賞と
ほぼ重なる。
更に、本部がベルギーのブリュッセルに
ある点まで共通している。
こうして見ると、あまりの共通性、
類似性に驚くだけでなく、
同じビジネスモデルでカモられているの
ではないかと訝る気持ちが出て来る。
とはいえ、マーケティングの投資対効果は
悪くない可能性が高い。
受賞を「権威付け」に使えるのに加えて、
受賞の有無とはかかわりなく、
その道のプロから有益なフィードバックを
得られるメリットもうたわれているからだ。
ギネスやミシュランもそうだが、
こういった「権威付け」というのは、
かくも美味しいビジネスになるのだ、
ということは認識しておきたい。
日本のメーカーやブランドが、
こぞって海外の権威にすがるのではなく、
国内で権威ある賞を作りあげて、
その国際的な名声を高めるように
努力をする。
そんな発想で官民が連携したり、
民間のスタートアップが動いたら
良いのになぁ、などと妄想した。