ロングセラー ロッテ「Rummy」の秘密
日経MJのシリーズ記事に、
「バイヤー調査」というものが
あります。
どんな記事かと言うと、
小売店のバイヤーが、
特定カテゴリーの商品「ブランド」と
それを供給している「メーカー」とを
多角的に「採点」して、
そのスコアの多寡でランキングが
決まってくるというもの。
カテゴリーの競争環境がよく分かり、
いつも楽しく読んでいるのですが、
今回は特に興味深く読みました。
それは、チョコレートだったから。
チョコレートは、お菓子の中でも
個人的に好きな部類に入るので、
世間の評価はどんな感じなのかと
気になったわけです。
バレンタインデーまで1カ月を切った
ということで、季節的にも丁度需要が
盛り上がるタイミング。
主要8社、12ブランドが対象となった
調査で首位に輝いたのが、
冒頭にあるロッテの「Rummy」という
チョコレートでした。
なんとこの商品、発売してから
60年も経っているという、
恐るべきロングセラー。
50-60代の「大人の女性」を
メインターゲットに据えている
とのことで、
その「ターゲティングの妙」が
バイヤーからの高い評価を得た
要因の一つになっていました。
ただ、14ある評価項目のうち、
他のブランドを押さえてトップの
評価を得たものは、実は
この「ターゲット設定」のみ。
「味」や「ブランド力」、
「商品コンセプト」などにおいて、
トップではないものの比較的高い
評価を得たのが、首位獲得の原動力
となったように見受けました。
この「Rummy」、パッケージに
記載されている通り「冬季限定」
にて販売される商品。
こんなに人気な商品ならば、
夏場も含めて通年販売しても
良さそうなものですが、
そこはあえて「冬季限定」に
こだわる理由がありました。
昨年11月にYahoo!ニュースにも
取り上げられたこちらの記事に、
ロッテの広報さんから聞き取った
内容が掲載されています。
品質を維持するために、
あえて「冬季限定」に絞り込んで
いるのですね。
このように、通年で売れず、
毎年冬にのみ戻ってくるので、
バイヤーにしてみれば、
割と「手のかかる」「面倒」な
商品と言えなくもなさそうです。
また、先ほどのバイヤー評価も、
全てが高いわけではありません。
「利益率」の評価は低く、
「広告・宣伝」や
「消費者キャンペーン・イベント」
といった項目でもかなり低空飛行。
それでも首位を獲得するというのは、
それだけファンが多いこと、
そして商品の力が強いことを
証明していると言って良いでしょう。
そして、この商品力を維持強化すべく
2020年にはリニューアルを実施し、
「チョコの厚み」
「生チョコレートの使用量」
を向上させ、評価を高めています。
品質アップに向けた不断の努力を
こうして続けることが、
ロングセラーとして歩み続ける
秘訣の一つに違いありません。