「育てるけん玉」の価値
3月13日付の日経MJに、
「無垢材けん玉 続けて深み」
と題する記事が載っていました。
「TOKYO KENDAMA」という
ブランドが発売している、
無垢の木材を使って作り上げた
けん玉が注目を集めているそうです。
サムネイルにバッチリ、
「育てるけん玉」の文字や、
「けん玉、育ててみませんか?」の
キーメッセージが躍っていますね。
「育てる」とは、無垢材ならではの
木のエイジングを指しています。
つまり、天然木材ならではの色合いが、
経年変化で味わい深くなっていくのを
「育てる」と表現しているわけですね。
こちらに、エイジングをする
ビフォーとアフターが掲載されて
おり、好みの木材を選ぶ上での
参考材料としています。
お手入れのためには、
専用の蜜蠟ワックスを推奨しており、
これを塗り込んでお手入れをする
ことにより、エイジングの効果が
より一層際立ってくることが分かり、
大変興味深く感じました。
木材の種類によっても、
木目の出方、
色味の濃さ、
色合いそのもの、
それぞれ特徴が異なりますから、
自分に相性の合う、
ピンときたものを選ぶ楽しみも
堪能できそうですね。
何の変哲もない、
ごく普通のけん玉であれば、
1,000円も出せば買えます。
それこそ、木の質にこだわりさえ
しなければ、100円ショップでも
売っているものすらありますよね。
単なるオモチャとしての機能的な
ベネフィットを満たすモノであれば、
価格の安いものがやがて勝つ、
いわゆる「コモディテイ競争」に
陥るところです。
しかし、「TOKYO KENDAMA」が
目指しているのは、
明らかにそうではありません。
お客様一人ひとりが、
木目や色味などの変化、すなわち
「エイジング」を楽しむような、
「情緒的ベネフィット」を満たす
世界を構想し、そのような世界観を
実際にお届けしていると言えそう
です。
だからこそ、世界観に共感してくれた
お客様は、多少価格が高くても
その「情緒的ベネフィット」を求めて
購入していただけるわけですね。
機能的ベネフィットだけよりも、
情緒的ベネフィットをも満足する
商品の方が、
当然ながら高い付加価値を実現し、
その分プレミアム価格で販売する
ことが可能になります。
革製品や木製品の場合には、
このように材質の特性を生かして、
機能に加えて情緒的なベネフィットを
届けることのイメージが分かりやすい
ですよね。
とはいえ、どんな商品であっても、
情緒的なベネフィットを付加する
余地というのは大抵あるものです。
改めて、自分の取り扱う商品が
どんな情緒的ベネフィットを
お客様にもたらしているのか?
あるいはもたらし得るのか?
じっくり振り返って考えてみる価値が
大いにあるのではないでしょうか。