一風堂が海外で好調のワケ
博多とんこつラーメンの名店、
一風堂。
今や日本全国に50店舗を構え、
海外進出も成功している
日本を代表するラーメンチェーン
と言える。
新横浜ラーメン博物館が開館した際、
スターティングラインナップとして
大注目を浴びた8店舗のうちの1店
でもある。
また、私の「推し」ラーメン店で
ある麹町の「ソラノイロ」の
宮崎店主は一風堂のご出身。
数多くのラーメンの作り手を育成
した実績もあるのだ。
その「一風堂」を展開する
「力の源ホールディングス」が、
海外の出店に力を入れているとの
記事を見かけた。
アメリカでは、ラーメン一杯で
当たり前のように2,000円、3,000円
取られる、なんてことを最近よく
聞くようになった。
円安が進んでいる影響が主因かと
思いきや、記事によるとどうも
それだけではない。
「ラーメンはファストフード」
という日本人の感覚が、
アメリカ人にはかけらもないようで、
それが逆に功を奏しているようなのだ。
バーを併設して、高級感を演出。
待ち時間にお酒を楽しんでもらい、
ひとしきりつまんでもらって、
最後に「〆のラーメン」。
こうすることによって、
日本の4倍にものぼる約4,200円もの
高客単価を実現しているのである。
利益率を高めに設定した
柔軟な値付けが可能なため、
海外事業は営業利益率が13%、
国内事業の5%を大きく上回る。
ここまで来るには、相当な苦労が
あったのだろうと思う。
どんなに日本人が美味しいと
思って作っても、外国人の舌に
合うとは限らない。
宗教による禁忌もある。
調理する店員の習熟度を管理する
こともまたハードルが高そうだ。
守るべき点は守り、
変えるべき点は変える。
その違いを見極め、再現度高く
オペレーションに落とし込む。
書くと簡単だが、実際にやり抜くのは
かなり難しいに違いない。
それを乗り越えて、今期末には
海外店舗数が国内を上回る見通しに
まで達するというから驚きだ。
讃岐うどんの「丸亀製麺」を展開する
トリドールホールディングスも、
海外出店を加速させている。
以前にTVで取り上げられているのを
見たときには、ロンドンやハワイの
店舗で大行列が出来ていた。
それだけ、味が美味しくて、しかも
価格がリーズナブルということで、
現地の人々に大人気を博している
ようなのだ。
日本の食は、非常にレベルが高い。
30年に及んだデフレ下で、
ただでさえ激しい競争環境が
更に厳しさを増していたとも
言える中、ずっと足腰が鍛えられて
きたと言えるのかもしれない。
鍛え抜かれて生き残った精鋭が、
海外でその力をいかんなく発揮する
姿を見られるのは、日本人として
大変に誇らしい。
一風堂にしても丸亀製麺にしても、
海外で益々の活躍を果たし、
日本の食文化の豊かさを更に広めて
くれることを期待する。