「ラス1」の価値付け
ビジネスパーソンが使うバッグ
として、リュックが台頭して久しい。
「流行り」を超え、
もはやマジョリティかもしれない。
町を歩いている人を見ると、
TUMIなどのビジネスバッグ系や、
GREGORYやThe North Faceのような
アウトドア系を使っている人が多い。
そこに割って入る勢いで、最近、
革製のリュックを見かけることが
増えて来た。
中でも、マザーハウスのリュックを
持っている人がかなり増殖中、
そんな印象を持っている。
マザーハウスは、
という理念を掲げ、2006年に
バングラデシュからスタートした
ブランド。
創業者でありCEO兼デザイナーの
山口絵理子氏は、様々なメディアに
引っ張りだこゆえ、今ではかなり
知名度も高い。
いわゆる「エシカル消費」という、
SDG'sにも関わる概念がある。
マザーハウスは、この「エシカル消費」の
文脈で語られることが多い。
しかし、ともすると
「エシカルな分、品質は大目に見て!」
となりがちなブランドも少なくないところ、
地道な努力の積み重ねで品質を向上させ、
非常に優れた質でありつつ、感度もかなり
高い商品を生み出している様子。
このマザーハウスが、面白い取り組みを
しているのが先日新聞に取り上げられて
いた。
これまでも、在庫がなくなって来て
売り切れ寸前の商品を、オンラインで
「ラス1」訴求して売り切ってきた
実績はあるらしい。
しかし今回は、リアル店舗において、
そのような「ラス1」に近い商品を
集めて売りさばくという試み。
特に興味深いのが、「ラス1」だから
といって、半額にするとか〇割引に
するというのではなく、
むしろ「最後の一品」というタグを
改めて付けて、付加価値を高めようと
している点だ。
そうすることで、無駄に利益を圧迫
するようなセールを回避しつつ、
お客様にも価値を感じていただける
工夫となっている。
更にもう一つ興味深いこと。
それは、「最後の一品」といった
メッセージに興味を持つ人というのは、
よりエシカル消費に親和性がある人だ
と類推できるところ、店内に山口氏の
思いを記したパネルを配することで、
ブランドメッセージを効果的に伝える
ことに成功している点だ。
「ラス1」を売り切る仕組みとして、
1店舗に残在庫の少ない商品たちを
集結させ、それらに興味を持ちそうな
お客様の心理をよく考え抜いた上で
店頭づくりをしている、非常に秀逸な
事例と言えそうだ。