「宛名のないDM」とは
これは、一昨日我が家にポストイン
されていたチラシ。
新日本製薬の「パーフェクトワン」という
ブランドから出ている、
「オールインワンコラーゲンジェル」
のものである。
かつて一世を風靡した「ドクターシーラボ」
の「アクアコラーゲンゲル」を見事に
ベンチマークした商品で、長きにわたり
かなり売れている様子。
このチラシを見て、右上にある
「クロネコエリア便」
という告知に目を奪われた。
なるほど、クロネコヤマトが自社の
配送網を上手く活用して、ポストイン
サービスを手掛けているのだな、と
いうことに気が付いたのだ。
そこで、この子会社と思しき、
ヤマトダイアログ&メディアという
会社のウェブサイトを確認してみる。
「宛名のないDM」というコピーが
目を引く。
ユニークな表現だ。
ただの「チラシ」とか「ポストイン」と
言われるよりも、ちゃんと届くような
印象を受け手に与える。
「宛名のあるDM」を展開するには、
宛先住所や名前といった個人情報を
お金をかけて入手しなければならず、
個人情報管理もまた大変である。
それと対比する形で、ただのチラシを
「宛名のないDM」と表現することで、
通常のDMに満足していない事業者や、
より幅広い客層にアプローチしたい
事業者に、興味・関心を持たせること
ができそうだ。
同社の売りは、大雑把なところから
きめ細かなものまで、かなり自由に
セグメンテーション(市場細分化)
出来る点にあるようだ。
きめ細かく絞り込めば絞り込むほど、
料金は高くなる。
ターゲットのお客様層に、直接的に
メッセージを届けられる確度が高まる
ので、利用側としては高い料金を払って
でも絞り込む価値を感じるのだろう。
逆に、絞り込んでも確度が高まらない
のであれば、高い料金設定は成り立た
ないことになる。
いずれにせよ、お客様側がどの様な
バランスでセグメンテーションすると
利益が最適化されるのか、ある程度
シミュレーションした上で、どの
レベルで発注するかを決めることに
なるはずだ。
クロネコヤマトは、その本業を通じて、
どこにどんな属性の人が多く住んで
いるか、生の情報を豊富に持っている
ことは容易に想像がつく。
その情報を、自らの資産、強みと
捉えて、事業に活かそうという発想と
実行力が素晴らしい。
上記のサイトを見ると、
「クロネコヤマト品質」という言葉が
ところどころに踊る。
利用側としては、宅急便の品質で
定評のあるクロネコヤマトのブランド
力は絶大ゆえ、安心してポスティング
をアウトソースすることが出来る。
コロナ禍が追い風になった通販業界に
寄り添って、お客様たる販売者と
最終消費者をつなげるビジネスを
展開する、ユニークなビジネスモデル。
地味で目立たないながら、要注目な
企業である。