「いま、必要な会社。」?!
「シャワートイレのためにつくった
吸水力が2倍のトイレットペーパー」
というひたすら長い名前の商品がある。
随分とロングセラーになっているので、
ご存知の方も多いはずだ。
この商品、スペック自体は、
トイレットペーパーというよりも
キッチンペーパーに近い。
水で濡れたお尻を拭くために、
吸水性の高い紙を使うことになり、
元々高い吸油性を目指して開発されて
いたキッチンペーパーの技術を応用
したというのが種明かし。
現在は、トイレットペーパー最大手の
大王製紙から、エリエールブランドの
商品として売られている。
しかし、元々は日清紡という会社の
一事業部が担っていたものを、5年程
前に大王が買ったという経緯だ。
今日のネタは、トイレットペーパーの
方ではなく、日清紡の方である。
タイトルにある、
というのは、日清紡ホールディングスの
キャッチコピー。
摩訶不思議なTVCMを目にしたり、
耳にしたりした人も多いだろう。
以前は犬だったが、最近は熊。
熊なので「クマーシャル」という、
ド直球なダジャレである。
昔から、ほとんど路線を変えずに、
この手の「よく分からない」CMを
飽きもせずに流している。
日清紡は、一体何のためにこの手の
CMを流し続けているのだろうか?
TVCMというのは、基本的には効率的に
認知を獲得することを目的として流す
ことが多い。
しかし、これらのCMの中には、
「名前は知っているけど、何をしているか
よく分からない会社」
というようなコピーが出て来るものもあり、
効率的な認知獲得が第一義とはとても
考えにくい。
CM好感度ランキングを毎月発表する
CM総研のサイトで確認したところ、
彼らは、CMのタイトルを
としているようで、どうも主目的が認知の
獲得よりも会社のブランドイメージ向上に
ありそうだということが分かる。
一体、どんな風にイメージを向上させようと
目論んでいるのだろうか?
一連の「クマーシャル」を見せて、どんな
イメージを持つか視聴者に訊いてみたら、
などなど、十人十色な答えが返ってくるに
違いない。
しかし、それではダメだということは、
ちょっと考えれば分かるだろう。
イメージアップさせたいなら、まずは
統一したイメージを決めるのが先。
そもそも、「いま、必要な会社。」と
いうキャッチコピーこそが、目指すべき
統一イメージであるべきだろう。
その点、クマの面白おかしい動きを
見たり、ダジャレを聞かされたりする
ことで、「いま、必要な会社。」だと
いうメッセージが伝わることは到底
あり得ないだろう。
日清紡という会社は、随分とお金に余裕の
ある会社なんだなぁ、というアピールには
なるのかもしれない。
私よりももっと辛口で、バッサリ日清紡の
CMを斬り捨てているのが、森行生さんの
こちらの本。
森さんのことを知る友人から出版の噂を
聞き、入手したばかり。
書評メルマガとして著名な、土井英司さんの
「ビジネスブックマラソン」でも、丁度
本書を取り上げており、Amazonでは書籍版
が入荷待ちになるほどの売れ行きを見せて
いる様子。(Kindleは販売中)
日清紡がずっと同じテイストのCMを
続けているということは、当然ながら
「失敗」との認識がないはずだ。
森さんの著書がベストセラーになったら、
日清紡の首脳にも話が届き、いつしか
CMの方向性が変わるのかもしれない。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。