生涯現役!91歳のテーラー創業者
テーラーを創業して60年以上!
ずっと現役で仕事をし続けている
アサカテーラーの創業者、
安積登利夫氏のインタビュー記事を
『致知』2024年11月号で拝読しました。
父も母も幼い頃に亡くされ、
戦争が終わった際に住んでいた
満州から何とか博多へ引き揚げ、
兄を頼って浅草橋へとやって来た
のがテーラー人生の始まり。
「久喜テーラー」というお店の
「小僧募集」という張り紙を見て
飛び込み、目の前の仕事に集中して
10年かけて仕事を一通り覚えて
いきました。
一人前になると、僅かな額の月給制から、
一着一着縫い上げた分だけの歩合制に
変わる給与制度だったそうで、
稼ぎは増えたようなのですが、
注文が入らないと当然ながら給与が
出なくなります。
当時、夏になるとパッタリ注文が
来なくなったようで、安積さんは
考えました。
そこで思い付いたアイデアが、
「無料お直しサービス」。
自ら、過去にお買い求めいただいた
お客様の家を一軒一軒回って、
ボタンが緩んだり、袖が綻びたりした
ものを無料で直すサービスを始めた
そうなのです。
結果、行く先々で喜ばれ、
美味しいご飯にありつけたり、
「秋になったらつくりに行くよ」と
半ば予約注文的な言葉をもらえたり
しました。
その後独立してからも上手に商売を
切り盛りしてこれたのは、安積さんが
この視点に気が付き、それを愚直に
守り続けたからなのでしょう。
お客様に対して、先に「与える」ことで
喜んでもらえれば、後から利益は付いて
くるというわけです。
今風に言えば、デジタル要素のない
「カスタマーサクセス」だと言っても
いいかもしれません。
独立後に、廣岡達朗さんや、王貞治さん
といった往年の超有名プロ野球選手の
方々にトコトン気に入られたという
エピソードもお話しされています。
彼らを虜にできたのも、安積さんの
「いかに目の前のお客様を喜ばせるか」
という意識の高さと、その徹底度合いが
群を抜いていたからだということが
ひしひしと伝わってきました。
加えて、「約束したことは必ず守る」
という当たり前のことを、必ずやった
ことで信用を着実に得たということも
あったそうです。
6年前、85歳で「東京洋服アカデミー」を
立ち上げて、日本の洋服技術を後世に
残すための努力を続けていらっしゃり、
そのバイタリティには驚くばかり。
安積さんには「生涯現役」のロール
モデルとして、健康長寿を維持し、
一層頑張っていただきたいですね。