ブルガリアのバラ産業とウクライナ戦争
ローズ/バラの産地と言われて、
どんな場所を思い浮かべる人が
多いだろうか。
数あるバラの種類の中でも、
ダマスクローズと言われる品種が、
香水などに使われるローズペタル
(バラの花びら)の原料となる
ことが多い。
このダマスクローズの産地として
有名なのが、
・ブルガリア
・トルコ
・モロッコ
・フランス
といった国々である。
生産量が一番多いのは、
ブルガリアだと言われている。
このブルガリアのバラ産業が苦境に
立たされているというニュースを
小耳に挟んだ。
何故そんなことになっているのか、
ヘッドラインを見ても全く想像が
つかなかったので本文を読んでみた
ところ、原因は主に二つ。
一つは、国際競争による原料価格の
下押し圧力。
これは、ある意味「よくある話」で
あろう。
もう一つが、何と、ロシアのウクライナ
侵攻による影響。
実は、ブルガリアは、ルーマニアを
挟んだ隣がウクライナという場所。
未だ予断を許さないウクライナ侵攻に
伴い、軍需産業が好景気を博しており、
バラ摘みにあたる労働者が不足している
というのだ。
バラの花は非常に繊細で、機械で摘む
というわけにはいかない。
6月の収穫期に一気に手摘みしなければ
ならず、摘んだら即その日のうちに
専用の釜で煮ることで、バラ水と
ローズオイルを抽出するそうだ。
とにかくスピード、タイムリーさが
肝要ということ。
季節労働者を一気に投入しなければ
ならないこの時期も、依然として
兵器メーカーが大量に人員を確保
し続けているために、摘みたくても
摘む人を雇えない、そんな状況らしい。
ウクライナ戦争の長期化で、
世界的にサプライチェーンが
大ダメージを受けているのは
多くの報道の通りである。
それが、バラ産業の苦境にまで
影響しているという記事を読んで、
複雑に入り組んだ世界規模の
サプライチェーン網というのは
思いのほか脆いものなのだという
認識を更に強くした。
戦争のニュースを見ても、
何だか遠くの国で行われている
他人事のような感覚になりつつ
ある自分を戒めねばなるまい。
未だに戦争は現在進行形で続いて
いるのだ。
何か特別なことができる訳でもない
とはいえ、せめてわずかでも自分が
できることがないか、考え、実践
していきたいと思っている。
ワグネルの反乱、そして撤退。
ここに来て、得体の知れない不穏な
事態が裏で動いているのではないかと
訝りたくなる状況が続いている。
戦術核の使用などといった、
取り返しのつかない事態だけは
避けて欲しいと切に願っている。