クープマンの目標値と、市場シェア目標の設定
とあるカテゴリーで、
自分たちが過半数のシェアを
持っていると仮定しよう。
これから自分たちは
何を目指すべきだろうか?
過半数、つまり50%強のシェアを
より一層大きくすること、
例えば60%を目指そう!
いや、70%を目指そう!
そんなことを考える人が割と
多いような気がする。
アメリカの数学者、クープマンが
導き出した「クープマンの目標値」
というものがある。
市場において、ある一定のシェアを
獲得することが何を意味するか、
分類してくれている指標である。
ググるとかなりの数のページが
ヒットするが、こちらのページを
オススメしておく。
以下に、各段階の概要を紹介して
おこう。
73.9%:独占的市場シェア
短期的にトップをひっくり返される
ことはまずない、実質的独占状態。
こういう企業、ブランドは滅多に
存在しないが、逆にいるならば、
その市場の代名詞となっているに
違いない。
41.7%:相対的安定シェア
トップの地位が、まずひっくり返る
ことはない、安定的なシェア。
このシェアを目標としている企業、
ブランドは多いはず。
26.1%:市場的影響シェア
いつ下位に逆転されるか分からない、
不安定な状態のトップである。
あるいは、2位の場合は、トップが
無視できない強力な競合となる。
10.9%:市場的認知シェア
市場において、生活者が辛うじて
思い出してくれるレベル。
一応知ってもらえているものの、
存在感を示すにはまだ至らない。
6.8%:市場的存在シェア
市場において、なんとか存在が
許されるレベル。
他人に言われないと、生活者が
名前を思い出すことはなかなか
難しい程度の知名度しかない。
さて、最初の問いに戻ろう。
既に相対的安定シェアを獲得
しているのだから、
次に目指すは独占的市場シェアだ!
というのが答えになるだろうか?
もちろん、それを目標にすることが
おかしいとか、間違っているなどと
いうつもりはない。
何を目指そうと自由だ。
ただ、そのカテゴリーの中で
よりシェアを伸ばそうという
目標を立てることは、
いささか「志」が低いのでは
なかろうか。
カテゴリーというのは、
お客様・消費者の行動に基づいて、
あるいはメーカー側の便宜上、
似たような用途の商品が一括りに
された集合体である。
その中で、とにかくシェアを最大化
することも悪くない。
しかし、既に安定的なシェアを獲得
しているのであれば、どうやって
新しいカテゴリーを創造するか?
そんな問いを立てることの方が、
より社会に貢献し、自社の末永い
繫栄に資するに違いない。
スタートアップ企業が、
市場のないところに市場を創造する
気概を持ってビジネスを立ち上げる
のと同じような「志」で、
現状に甘んじることなく果敢に
チャレンジできる企業やブランドが、
結果的にシェアや売上を更に伸ばして
いく可能性が高いであろう。