「ただの水」を「ただものではない水」にする
1本100円のコーラを、
1,000円で売る方法を指南する。
そんなテーマの本が話題になったのは
もう15年近くも前のことでした。
どうやって付加価値をつけるか、
マーケティングの意義やノウハウを
ストーリー形式で分かり易く伝える
本だったと記憶しています。
「Liquid Death」の話を聞いたとき、
真っ先に思い出したのがこのコーラの
本でした。
冒頭の写真は缶入りの「ただの水」。
これが「Liquid Death」です。
直訳すれば、「液体死」。
おどろおどろしい骸骨のイラスト、
ヘビメタのバンドが使いそうな
フォントで書かれたロゴ、
およそ「ただの水」が入っている
とは思えない外見ですよね。
でも、本当に「ただの水」なのです。
そして、その「ただの水」ごときが
大人気を博しているらしいのです。
日本語の記事を探してみたところ、
今年の3月にこんなものがありました。
企業価値が14億ドルですよ!
仮に1ドル150円計算すれば、
2,100億円ですよ!
スタートアップで、
缶入りの「ただの水」を売っている
企業として考えると、
破格ではないでしょうか。
なのですが、これを
「ただものではない水」に仕立てて
いるからこそ、企業価値が爆上がり
しているわけです。
彼らのマーケティング活動を、
かいつまんで見てみましょう。
大雑把に彼らの成功要因を捉えると、
ユーモアのあるブランディングの勝利で
あると解釈できるかもしれません。
彼らのウェブサイトの
「About」(会社概要)を見ると、
こんなことが書いてあります。
ユーモアあふれる自社紹介ですよね。
そもそも、ブランド名/商品名からして
ユーモアにあふれ、インパクトがあって、
非常に印象に残りやすいと言えます。
缶のデザインも、まるでアートのように
おしゃれで、かつユーモアあるブランド
名との一貫性も保たれており、他の
飲料に比べて独自性が際立っています。
次々に展開されるキャンペーンの類も、
いちいちユーモアが利いていて、
面白がるファンがどんどん増殖する
よう仕向けているのですね。
プラスチックを使用せず、
リサイクル可能なアルミ缶を採用していて、
環境保護の意識が高い消費者に支持されて
いることも特筆すべき点なのですが、
そこでもやはりユーモアが欠かせません。
例えば、缶の下の方に
とさりげなく書いてあって、
見つけたら思わずクスッとなりそうです。
こうした特徴が、SNSで爆発的に拡散
される源泉となっている様子で、
Instagramのフォロワー数は402万人!
(2024年11月現在)
「ただの水」だけでなく、「炭酸水」や
「フレーバーウォーター(味付きの水)」
も展開し始めていて、ものすごい勢いで
伸びているようです。
日本にはまだほぼ入ってきていないに
等しい様子ですが、
そのうち「パクリ」が出てくるかも
しれません。
本国でどこまで勢いよく伸びるのか、
注目しておきたいと思います。