ドンキと花王の「テスト販売」という名の販促
ドン・キホーテと花王がタッグを組み、
Men’s BIOREのボディシートを対象に、
2つの異なるパッケージデザインの
どちらが売れるかを比べる目的の
「テスト販売」を先日開始した。
上記バナーに見られる通り、
「ドンキ派」と「花王派」の
「あなたはドっち!?」
という問いかけがなされている。
左はドンキによるデザイン、
右は花王によるデザインだとのこと。
「ボディシートさらさらタイプ」の
ベネフィットを、パッケージの前面で
訴求しているわけだが、それぞれの
カラーが出ていて面白い。
ドンキの方は、最近PBでヒットを
飛ばしていると評判のネーミング
手法を踏襲している様子。
それは、やたらと長い説明調の
商品名である。
この記事の通り、やたらと長い名前の
PB商品を展開し、それがPOPの機能を
果たしている。
2021年に、PB「情熱価格」ブランドを
リニューアルする際に、
『驚きのニュースのない商品は発売しません』
と宣言、そのニュースを「長い商品名」で
体現しているということだ。
通常ならば商品名が入るべきところに、
この文章がドーンと鎮座している。
先のYahoo!ニュースに出て来る例に
比べれば大したことはないものの、
確かに長いのは間違いない。
ただ、同時に、どんなベネフィットが
得られるどのようなタイプの商品かを
この一文で全て説明しきってくれており、
消費者に対してはむしろ親切だと受け
取られる可能性は十分あるだろう。
右下の方にも、これでもかと言わん
ばかりにベネフィットを詰め込んでいて、
それも商品名の一部だと捉えるならば、
やっぱり「情熱価格」の方針をそのまま
踏襲していると言えそうだ。
他方で、花王側のパッケージでは、
冒頭の3文字を商品名のような見え方に
しつつ、その3文字を補足する内容を
訴求して、コンパクトにまとめている。
ドンキは「肌の仕上がり感」を前面に
押し出しているのに対して、
花王は「速く乾く」という機能面を
前面に押し出している点が
大きな違いと言えそうだ。
一般に、男性は機能的ベネフィットに
より強く反応する傾向にあり、
女性は情緒的ベネフィットにより強く
反応する傾向があると言われる。
今回、ドンキ側が情緒的、花王側は
機能的な訴求を前面に出しており、
この商品が男性向けであることから
すれば、一般的には花王側の方が
より受け入れられやすい可能性が
高そうだ。
しかし、テスト販売をしているのは
ドンキの店頭。
ドンキに通うお客様が、
どちらにより強く反応するのか、
非常に興味深いところである。
そして何よりこの話で面白いのは、
「勝った方が全国発売」という
話題性を提供し、このテスト自体が
立派な販売促進になっているという
仕組みである。
なかなかのセンスある企画、
最終的に全国発売されるのが
どちらか、是非フォローしたい。