季節イベント定着の成功と失敗を分けるもの
日本でも「秋の季節の風物詩」として
すっかり定着した感のあるハロウィン。
9月も割と早い段階から、スーパーには
ハロウィン関連商品が並び始めて、
10月に入るとそれが一層目立つように
なり、10月末のハロウィン当日に向けて
徐々に盛り上がっていきます。
日本人は元々、季節の変化を尊び、
その季節ごとに様々なイベントを催し、
それに合わせて特別な食べ物を用意する
習慣がありました。
秋であれば、お彼岸に供えるおはぎや、
お月見の団子がそうですよね。
その意味で、季節イベントが一つや
二つ追加になっても、すんなりと
受け入れる土壌があったと言えるの
ではないでしょうか。
バレンタインデーやホワイトデー、
節分の際の恵方巻など、歴史的には
比較的新しいイベントながら、
今の社会にすっかり根付きました。
これに対して、上手くいかなかった
イベントもあります。
パッと思いつくのは、本を贈ることを
提案した「サン・ジョルディの日」。
スペインの習慣を日本に持って来る
試みだったようですが、見事失敗に
終わってますよね。
他には、「プレミアムフライデー」も
失敗とみてよさそうな気がします。
2017年に始まったばかりなので、
まだ失敗と断定するには早すぎる
かもしれませんが。
これら、成功と失敗の明暗を分けた
ポイントは、一体どんなところに
あるのでしょうか。
まず考えられるのは、既存の文化や
風習との親和性が挙げられます。
日本人が伝統的に大切にしている
価値観や生活習慣に合致していれば、
自然と受け入れられやすくなると
言えますよね。
バレンタインデーや恵方巻は、
食べ物に感謝の気持ちや健康への願いを
込めた行事である点において、
日本の既存の行事にも類似しており、
馴染みやすかったのかもしれません。
そこへ、企業が巧みに関連商品を展開する
ことで、一層浸透が容易になったと言える
でしょう。
サン・ジョルディは、食べ物ではなく
本や花に感謝の気持ちを込める行事であり、
今ひとつ日本に馴染みにくかったのかも
しれません。
また、業界からの押し付けっぽい匂いが
したことは否めず、それゆえに定着が
難しかったこともあるでしょう。
次に、それぞれのイベントがもたらす
具体的なメリットや楽しさも重要です。
恵方巻のように、シンプルで分かりやすい
楽しみ方が提案されたイベントは、
消費者も取り組みやすく、定着が容易でした。
ハロウィンがブレイクしたのも、
いい大人が仮装してみんなで騒いでもOK!
という新たな楽しみ方の風潮が徐々に広がり、
今のような大きなイベントに成長したと
言えますよね。
これに対し、プレミアムフライデーのように
具体的な行動や楽しみ方が曖昧、あるいは
多種多様に渡ってしまったり、恩恵を享受
できない人もそれなりに多い状況があると、
普及に限界があったのかもしれません。
更にもう1つ、「タイミングの適切さ」も
成功と失敗を分ける要因でしょう。
新しいイベントや習慣が導入される際には、
そのタイミングが人々のニーズや社会の
トレンドと一致しているかどうかが重要です。
バレンタインデーやハロウィンは、
消費社会が成熟し、イベントを通じて
消費行動を活発化させる風潮が強まって
いた時期に導入されたので、商業的にも
成功を収めやすい状況が整っていたと
言えるのではないでしょうか。
他方で、プレミアムフライデーは、
働き方改革やワークライフバランスの重要性が
叫ばれていた時期に導入されましたが、
実際には忙しいビジネスパーソンが多く、
早めに仕事を終えて楽しむ余裕を持てない人も
多いことがネックだったのかもしれません。
アイデアとしては良くても、その時点での
社会状況や人々のライフスタイルに合致して
いなければ、成功は難しいでしょう。
既に飽和状態に近い気もする季節イベント、
近い将来何かしら新しいものが流行るのか、
注目しておきたいですね。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。