目的と状況に合わせて方法を考え抜く
ようやく視聴できた。
一週間ほど前に行われた、
DAF21というイベント。
西澤一浩さんという名司会者
兼イベントプロデューサーが
ライフワークにしている、
Drink Academy Fes の21回目。
飲み会と、セミナーと、フェス、
これらを渾然一体に仕立て上げた
ようなイベントである。
16人のスピーカーによる、
10分一本勝負のトークの数々。
プロの講師業の方も多く、洗練
された内容、クオリティで、
コミュニケーションのスキルを
はじめ様々な学びを得ることが
できる。
加えて、純粋にエンタメとして
楽しい!ということもあり、
ついつい視聴、応援したくなる
イベントなのだ。
過去に、一度はリアルで、一度は
オンラインで参加したが、今回は
ハイブリッド開催とのこと。
元々都合の悪い日程だったので、
迷った挙句、前日にアーカイブ
視聴前提で申し込み、約一週間後の
今日になってようやく視聴する
時間が取れたのであった。
どの話も大変面白かったのだが、
今回の押しは山田泰史さんという
不動産営業が本業の方。
テーマは、
『わがままな子供のおかげで
営業は誰でもできる』
というもの。
とても不思議なタイトルだが、
内容はこういうことだ。
小さな子供を持つ夫婦が、新しく
家を買う状況で、週末に山田さん
が何時間もかけていくつかの物件
を廻る。
「大人しくしていてね」という
言いつけに反し、子供はやがて
騒ぎ出し、夫婦はなだめすかしで
家を見るどころではない、家の
説明をしても聞いてもらえず、
当然成約には至らない。
夫婦、子供、山田さんの三者、
ともに疲弊。
翌週末にも同じご家族を案内する
予定になっていた山田さん。
三者がともにハッピーになるには
どうしたらいいかを考え抜いた末、
一計を案じて次の週末に臨む。
普通ならご夫婦を相手にし続ける
ところ、ひたすら子供を相手にする
ことのみに徹したのだ。
子供のわがままにトコトン付き合い、
一緒に遊んでやり、ご夫婦のことは
ほぼ無視。
子供はもちろん大喜びで、キャッキャ
と跳ね回り、山田さんも一緒になって
跳ね回った。
しかしその結果、ご夫婦は
「初めてゆっくりと家を見られた」
「子供と一緒の暮らしが想像できた」
と満足げに話し、その後無事成約に
至ったのだという。
キーパーソンは、お金を支払う
ご夫婦ではなく、子供だったという
ことだ。
営業する上では、常識的にはやはり
財布のひもを握っている人をいかに
説得するか、そちらに意識がいき
がちだろう。
しかし、一歩引いて考える。
三者ともにハッピーになるためには
何が良いか、それを考え抜いた結果
素晴らしいブレイクスルーとなる
方法を編み出したのだ。
方法の有効性は、目的と状況の関数
である。
これは、西條剛央さんが主張する
「方法の原理」と呼ばれる考え方。
言い方を変えると、方法に効き目を
持たせるには、目的と状況に応じた
ものにするべし、ということ。
山田さんの目的は、家を売ること。
そのために、ご夫婦に一生懸命家の
案内をしていたわけだが、子供が
騒ぐという状況の中ではうまく目的
を果たすことは難しかった。
この状況を踏まえて、単に家を案内
するという方法ではなく、柔軟に
方法を変え、子供を喜ばせることに
徹するというやり方に打って出た
結果、目的を達せられたわけだ。
目的を達成できるように、状況を
踏まえながら、方法が有効に機能
するように考え抜く。
山田さんのお見事な実例は、是非
今後の参考にさせていただきたい
し、多くの皆さんの参考になるで
あろう。