米粉パンの普及よ進め
年末恒例、日経MJによる
ヒット商品ランキング。
元日にも少し取り上げた。
前頭の一角に食い込んだのが、
タイナイの米粉パンシリーズ。
2021年に比べ、シリーズの売上は
1.5倍に増加、ずっとフル生産が
続いているという。
MJの解説には、小麦粉の価格が高騰
したため、パンにも値上げが波及し、
安定調達可能な米粉に対する関心が
高まった、とある。
実際、戦争によるサプライチェーンの
混乱や、原油価格の高騰に加え、
円安が勢いよく進んだりといった
外部環境の変化が、小麦粉の価格を
一気に引き上げた。
その価格の推移、乱高下については、
自民党のこのページにある図表が
パッと見で分かりやすい。
2021年9月から2022年3月頭の価格を
100とした場合、2022年の途中で、
一時的に160近くまで上昇。
その後落ち着きを取り戻したものの、
依然として120辺りで高止まりして
いるのだ。
これだけ小麦粉価格が上がれば、
パンにせよ、うどんにせよ、パスタに
せよ、小麦粉を使う食品類の価格も
当然ながら上昇する。
いわゆる「主食」の類なので、
その価格上昇は家計をもろに直撃。
国民的な関心事になるのも、
必然だろう。
米粉パンは、確かに最近よく目に
するようにはなってきたが、
まだまだ小麦粉のパンに取って
変わる程の存在感を発揮するまで
には至っていない。
実のところ、米粉パンの普及は
ポジティブなことだらけだ。
まず、小麦粉に含まれている
グルテンが、米粉には含まれない
(いわゆるグルテンフリー)ために、
グルテンアレルギーの方でも
安心して食べられる。
また、水分保持率が高いために
もっちりした食感が楽しめたり、
栄養価も小麦粉に比べて高いと
いったメリットがある。
そして、何より重要だと思うこと。
それは、日本の食糧安全保障を大きく
前に進めるチャンスである、という
ことだ。
主食としてのコメは、その総需要量も、
生産量も、年々減少を続けている。
様々な要因があるだろうが、
食の西洋化が進んだことが最も大きな
要因だろう。
もちろん、何を食べようと自由だ。
しかし、いざ外国と戦争になったり、
海外で戦争が起こったりしたことで
食料の輸入がままならなくなった際、
日本人の食を支えるのは国内の農業
である。
4年前に減反政策は終わりを告げた
ものの、すっかり衰退、衰弱しきった
日本農業の現状では、輸入食料の穴を
埋め切れるのか、心もとない。
そもそも、こちらの記事に書いたような
恐ろしい事態も進行中。
そんな観測もある程に、
食糧安全保障は待ったなしである。
そんな折、最も頼りになる作物は、
やはり何と言ってもコメしかない。
日本人の舌がコメから離れつつある
現状を変革し、コメをもっと大切に
扱う必要があるのではないか。
この際、食糧安全保障を目的として、
政府のテコ入れでコメの収量と価格を
安定させることが望ましいとすら思う。
ここでも何度か紹介している、
国際関係アナリストの北野幸伯さんは、
日本全国で完全米飯給食を実施する
ことを以前から提唱している。
コメの需要が増えれば、流通量も増える。
米粉パンの原料も豊富に提供されること
になり、今はかなり割高な価格もリーズ
ナブルな範囲に下がって来るだろう。
海外の事情に左右されない、
安定した食糧確保への道筋として、
コメの需要増と生産増が良いサイクル
で回っていくことを望むところ。
そのためにも、今回のタイナイの
米粉パンを始め、米粉の消費、
コメそのものの消費促進に貢献
したいところだ。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。