AIには出来ないこと
TVCMの好感度を測り続けて30年、
ひたすら計測し続けて、圧倒的に
ユニークなサービスを提供している
東京企画なる会社がある。
屋号的に「CM総研」という言葉を
使っており、その方が名前の通りが
良いかもしれない。
その「CM総研」さんでセミナーを
やるとのお誘いを受け、
仕事の合間を縫って参加することに。
基本的には彼らのサービスの売り込み
なのだが、何か面白い知見が得られる
のではないかと期待して、芝にある
オフィスにお邪魔した。
彼らが紹介してくれたのが、
「Mnavi」
という名前のサービス。
全オンエアCMを毎秒ごとに解析し、
CM好感度をどの程度獲得できるかが
予測できるというのである。
その予測をつかさどるのが、AI。
「仮想脳」という表現を彼らは使って
いる。
過去30年間蓄積されてきたCM好感度
調査の中から選ばれた2500もの作品
の映像とその好感度を、
その「仮想脳」に学習させてある。
そして、「仮想脳」に新たな作品を
解析させると、その作品に脳が
どのような反応をするかを予測し、
好感度を推定できてしまうという
ことだ。
作品と好感度の相関性を学習すれば
する程、AIたる「仮想脳」が賢く
なっていくので、好感度バッチリの
CMを作りやすくなりそうなものだが、
ことはそこまで単純ではない。
CM好感度の構成要素には、
「仮想脳」に覚え込ませた要素だけ
では足りないらしい。
説明によると、「仮想脳」が現時点で
覚え込んでいるのは、CM作品のうち
「ベーシックアテンション要素」
(「基礎的な認知獲得要素」とでも
訳しておく)
と呼ばれている部分のみ。
それ以外に作品に含まれる要素として、
・キャッチコピー
・出稿量(TVCMを流す量)やその質
・クリエイター
・その時々の流行
・ブランド認知や評判
といったものが多数あり、上記の
「ベーシックアテンション要素」だけ
では一概に判断できないとのこと。
確かに、同じCM内容であっても、
嵐の5人が出た場合と、
ドリフターズの5人が出た場合、
無名の新人俳優5人が出た場合、
それぞれ好感度の出方は相当変わって
くるはずだ。
しばらく運用を続けてAIが学習を
繰り返していけば、そのうち他の要素
も含まれた形で好感度を計測すること
が可能な時代が早晩訪れることは確実
なのだろう。
それでも、人間が「好感を抱く」と
いうのは極めて精妙な心のはたらきで
あり、そう簡単にAIでスパスパ切れる
ものではないということも頷ける気が
するのである。
話は変わるが、友人の医者と話した
折に、
医者はAIに代わられやすいが、
看護師は代わられにくい、
だから看護師の方が将来安泰だ!
などということを聞いた。
確かに、病変の画像を見て、より正確に
病名判断を行うのはAIであり、人間の
目視による判断が既に勝てないレベル
にまで進んでいるという話も聞いたこと
がある。
そういう状況なので、最後は
「人が人に直接触れること」
がそのままサービス内容になるような
仕事が、AIに代替されずに人の手に
残るはずだというのである。
「AI」という単語がメディアで
取り上げられない日はない、
と言っても過言ではない現代。
その「AI」に、自分の仕事は代替
されずに済むものなのか、
もし代替されたら自分は
何を代わりにやっていくべきか、
備えておくに越したことはない。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。