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インストール型利益モデル

最近、高校時代の同級生のFacebook
投稿を見て、非常に驚かされました。

15年以上前に同窓会で集まった際に
同級生からもらったカミソリの
本体を最近なくしてしまったので、
新しく買った
というのがその内容。

その「同級生」というのが、
何を隠そうこの私。
当時カミソリのメーカーに勤めて
おり、同窓会に持参して同級生に
それなりの数を配布したのです。

配布したこと自体、すっかり忘れて
いたわけですが、彼は律義にも
ずっとそのカミソリを使ってくれて
いた
様子。

つまり、15年以上もの間、ずっと
替刃を買い続けてくれていた
わけ
でして、有り難いやら申し訳ない
やら、何とも言えない心持ちに
なりました。

私自身、カミソリメーカーに在籍
したのは6年間で、その後は別の
会社を転々としておりましたから、
彼がそのカミソリを使い続ける
「義理」は全くと言っていい程
なかった
わけです。

それでも、ある程度はカミソリの
「品質」を気に入ってくれたから、
そして恐らくは半ば「惰性」で、
替刃を買い続けてくれたのでしょう。

替刃式カミソリのビジネスモデルは、
「インストール型利益モデル」
という名前が付いているのを
ご存知でしょうか?

スライウォツキーの名著
『ザ・プロフィット』に出てくる
概念です。

プリンタとインクが最も有名な事例で、
何かしら「本体」をインストールすると、
その「本体」が稼働する限りはずっと
消耗品を購入し続ける
ことになり、
メーカー側はその消耗品で利益を
安定的に確保できる
というもの。

なので、多少利益率が低かったり、
あるいは「本体」だけで見たら赤字
あったとしても、消耗品込みで考えて
ビジネスを成り立たせることが可能

なるのです。

カミソリと替刃、
電動歯ブラシと替えブラシ、
ウォーターサーバーと水、
ネスプレッソとカプセル、
浄水器とフィルター、
探せば身近にかなり色々な例を
見ることができるでしょう。

同書では23の「利益モデル」を紹介
してくれていますが、
この「インストール型利益モデル」は
非常に再現性が高い優れたモデル

してインパクトがありました。

そして、カミソリメーカーに勤めて
その威力をまざまざと見てきた
わけです。

一度本体をインストールしてしまうと、
他のブランドに乗り換えるためには
いわゆる「スイッチングコスト」
発生しますよね。

それが面倒で、ついつい惰性で同じ
ものを買い続ける層がそれなりに多く
いらっしゃいます。

そもそも、商品の品質に満足している
ならば、他のブランドを探し求める
必要もないわけで、そのままいつもの
インク、替刃、替えブラシなどを
買い続けるのは極めて合理的な判断
だと言えるでしょう。

私自身は友人に「善意」でカミソリ
本体をサンプリングしたのですが、
結果的には「インストール」をして
その後の替刃購入を促し、当時勤務
していたメーカーの利益アップに
貢献した形になりました。

それにしても、私の記憶が正しければ
当時カミソリの本体は平均で2~3年に
1本買い替える消費者がマジョリティ

だったはずです。

その数倍もの長い期間にわたって
愛用してくれた友人には、
深い敬意と感謝の気持ちを述べたいと
思うところです。

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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。