2024年 世界の消費者トレンド その4 「広がる分断」
ユーロモニター社が発表した、
「2024年 世界の消費者トレンド」
6つを順に取り上げて、少しばかり
その内容について議論している。
前回がこちら。
今回は、その4回目。
いつも通り、まず同社の日本語記事の引用
から始めよう。
世の中の不安定さが増している。
戦争はその大きな一因であるが、
それだけではない。
例えば、「LGBTQ+」。
レズビアン(女性同性愛者)
ゲイ(男性同性愛者)
バイセクシュアル(両性愛者)
トランスジェンダー*
クエスチョニング*
そして「+」アルファの頭文字だ。
*説明が長くなってしまうので、
こちらのサイトを参照願いたい。
歌舞伎町タワーの共用トイレ問題が
ネット上で激しく炎上したのは
記憶に新しいところ。
「LGBTQ+」のようなセンシティブな
問題が絡む場合、消費者の反応が極端に
振れるリスクを常に孕むこととなる。
会社のオーナーや株主の政治的な主張を
貫くために、あえてそのようなリスクを
取る企業もあるかもしれないが、
リスクの存在を十分に認識した上で
取り組むべきだと警鐘を鳴らしている
恰好だ。
Woolworthsという南アフリカ発の
アパレルブランドでは、
「LGBTQ+」コミュニティをサポートする
「プライドキャンペーン」を実施した。
2023年6月の「国際ゲイプライド月間」を
サポートする目的で、「LGBTQ+」の象徴
でもあるレインボーカラーをあしらった
「プライドコレクション」という商品を
展開したのである。
このキャンペーンが、大きな批判に晒され、
店舗のボイコット呼びかけなどへと発展。
しかし、「誰一人取り残さない」という
信念に基づいて、商品を取り下げるどころか、
むしろ対象商品を倍増させる動きを見せた
とのこと。
日本は、同質性の高い日本人同士が
コミュニティを形成しているために、
他国に比べれば政治的な分断が起こり
にくい構造にあると思われる。
しかし、こんなに円安が進んでいるにも
かかわらず、外国人労働者が徐々に増え
続け、移住者のコミュニティ形成が確実に
進んでいるような話も聞く。
そうしたコミュニティ同士で、あるいは
従来から存在する日本人コミュニティとの
間での摩擦は、社会的な不安定さを高め、
消費行動にも様々に影を落とすだろう。
そんな「社会的な分断」の広がりが、
トレンドとして表面化することを十分に
理解し、どのように備えるべきかを
考えておくようにしたいものである。