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「お人好し経営」は成り立つのか?


伊那食品工業の塚越寛名誉顧問と、
リッツカールトンの日本代表を
務めていらした高野登さんとの
対談を拝聴した。

その中で、塚越さんが

「お人好し経営」

という言葉を使っていたのが
耳に残った。

三方よし経営の見本のような、
素晴らしい経営のかじ取りを
され、今はご子息にバトンを
渡された伊那食品工業。
そこで展開されていたのは、
社員を信じ、取引先を信じ、
ある意味儲けを犠牲にしてでも
相手を信用して任せるという
「お人好し」な経営
だったと
言うのである。

私などは、外資系企業を中心に
これまで25年以上にわたり
サラリーマン生活をしているの
だが、どの会社でも「お人好し」
とは程遠いという印象。
むしろ、社員にしても、取引先に
しても、裏切られる可能性がある
ことを前提に仕組みを整える、
そういう発想の方が強い。


人対人のコミュニケーションに
おいて、信用、信頼を築くため
には、やはり「まず自分から」
信用してもらえるような行動を
とる必要がある。
裏切られたら、自分の見る目が
なかったのだと思うしかない。
要は、私生活において
「お人好し」でいくのが正解だ、
というならまだ分かる。

しかし、人がひとたび徒党を組む
と、つい倫理的な側面における
基準が引き下がる傾向にある
のは
誰もが心当たりあるところでは
ないか。
赤信号、みんなで渡れば、、、
というやつである。

なので、人が徒党を組んでいる
ところの「会社」において、
「お人好し」ぶりを発揮すると
いうのは、危険極まりない行動
だと思うのである。
それを何十年とやってきて、
経営の見本のように言われる
のだから、魔法でも使っているの
ではないかと訝りたくもなる。

恐らくは、「お人好し」の定義が
私などとは異なるか、あるいは
実際の行動として表れているのは
「お人好し」な面だけではない、
そんな何かしらの「ウラ」がある
のではないか?
そんなことを思ったりする。

メルマガ『平成進化論』を十数年
毎日、濃い内容で発行し続けて
いる鮒谷周史さんが、以前に
「人が好い」と「良い人」は
全く異なり、前者は悪い奴に
食い物にされるので要注意

そんな趣旨のことを語っていた。

そう、世の中には悪い奴が
いくらでもいる。
どんな落とし穴が、
どこに掘られているか、
正直言って分からない。
用心しないと、簡単に餌食に
されるのだ。

対談の中で語られていない
様々な要素が、秘密が、
まだあるのかもさしれないし、
ないのかもしれない。
いずれにせよ、お人好しでも
立派な経営を成り立たせる、
そんな手腕を身につけたと
言えるように精進したい

ものである。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。