なんとなく、クリティカル
自分の「刃を研ぐ」ために、少々調べもの。
楠木建さんの大ベストセラー、
『ストーリーとしての競争戦略』の
最も重要な部分、と著者自らが言っている
パートを読み、マーケティング戦略論の
話とどうつながるものか、あれこれと
考えていた。
本の中に、「クリティカル・コア」という
言葉が出て来る。
ふと、「クリティカル」という言葉は
当然誰でも分かる前提で使ってはまずい
だろうなと思い、どのように日本語変換
したら分かりやすいだろうかと、少々
調べてみることに。
辞書を引くと、以下のような感じだ。
(プログレッシブ、例文等は省略)
Critical
[形]
1〔限定〕〈人・意見が〉批評の,評論の(◆良し悪しを判断);〈作品が〉校訂済みの
1a〈人(の発言)などが〉(…について)批判的な,口やかましい,あら探しの,酷評する ≪of,about≫
2〈事・状況が〉きわめて重要な,重大な,(…にとって)決定的な,必須の ≪to,for≫
2a〈状況・病状が〉危機的な,危険な;〈患者が〉危篤の,重篤の
2b《数学・物理学》〈量・状態などが〉臨界の
ひと頃、「クリティカル・シンキング」
略して「クリシン」というのが流行った
記憶がある。
こちらの「クリティカル」は、どちらか
というと 1 の意味。
「批判的思考」と訳され、ほぼほぼ
ロジカルシンキングと同じ意味合いだと
考えてよいだろう。
「クリティカル・マス」なんていう
言葉もある。
商品やサービスを市場に導入した際に、
爆発的に普及するための分岐点となる
普及率のことを指す。
臨界点、という意味合いなので、2b の
ような意味だ。
「クリティカル・パス」という言葉も
おなじみの人は多いかもしれない。
プロジェクトマネジメントで使う概念
で、プロジェクト全体のスケジュールを
事実上決定している、どうしても外せ
ない、避けて通れない作業の連なりを
指している。
これは、2 の意味だと言えるだろう。
「きわめて重要」とか、「決定的」、
「必須」といった意味合い。
「パス」は「path」、つまり経路なの
で、「決定的経路」とか「必須経路」
とでも訳すことが可能だろう。
「クリティカル・コア」の話に戻る。
著者の定義は、
「戦略ストーリーの一貫性の基盤となり、
持続的な競争優位の源泉となる中核的な
構成要素」
である。
「中核的な構成要素」という意味合いを
出すために、「クリティカル」の語を
用いたのだろう。
クリティカル・パスと同様、2 の意味だ
と言って差し支えなさそうだ。
ちなみに、「コア」は「源泉」の意味
で用いているのだと思われる。
競争優位の「源泉」、火山から噴き出る
マグマが溜まっている「中心」部分、
だから「コア」なのだろう。
マーケティングの用語でこれをうまい
こと置き換えられないだろうかと、
うんうん考えていたのだが、結局の
ところはまだお預け。
問題意識だけ脳に投げかけておき、
熟成されて旨みを増して戻って
くるか、そのまま腐ってしまうか、
少しばかり様子を見てみることに
する。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。