Connective Leadership
毎週末、大抵は土曜日の午前中に走る
ことが多いのだが、今週は雨の予報
だったことと、興味深いオンライン
セミナーを受講する予定が入ったこと
で、走る予定は一日ずらすことにした。
そのセミナーは、アメリカ西海岸と
東京を結ぶ形で、ZOOMで行われた。
講師がなんと、クレアモント大学の
ドラッカースクールでる公共政策
と組織行動論を教えていらっしゃり、
リーダーシップ教育の世界的な権威
である Jean Lipman-Blumen氏。
ドラッカーが、自ら三顧の礼を以て
口説き落としたという逸話のある、
その世界で極めて優れた業績を
残している方だ。
そんな素晴らしい方のセミナーを、
日本にいながらにしてオンラインで
聴けてしまうこの時代、
有り難いことこの上ない。
Lipman-Blumenという苗字に、
man と men 二か所も男を意味する
つづりが入っていたこともあり、
勝手に男性だろうと思い込んで
いたのだが、実際には女性。
1933年生まれとあるので、なんと
御年87歳。
ZOOM越しに拝見した彼女は、
とってもチャーミングな印象で、
権威的なところなどは微塵も
感じさせない。
セミナーのテーマが、
「Connective Leadership」
20年前に彼女が出版した本のタイトル
でもある。
一言で表せる適切な訳があるのか不明
なのだが、例えば
「つながりリーダーシップ」
「接続的リーダーシップ」
「連結型リーダーシップ」
みたいな感じだろうか。
彼女の意図としては、IT革命により
「つながっている」ことが常態化
した現在においては、従来と比べ
求められるリーダーシップ像が
異なってきているということで、
それを解き明かそうとしているのが
Connective Leadership 理論である
ということのようだ。
従来のリーダーシップ像というの
は、いわゆる Command & Control、
戦争時に必須とされる「指揮統制」
型である。
「権威主義的リーダーシップ」と
言い換えてもいいのかもしれない。
リーダーシップという言葉に対し、
とにかく前にしゃしゃり出ていく
ようなイメージを持っていたり、
やたらと仕切ることではないかと
思っている人も多い気がする。
一般的には、そういう人のことを
リーダーシップがある人、と
捉える傾向があると言えるだろう。
しかし、そんなタイプでは、今の
時代には向かない。
「Inclusion」という言葉を最近
よく聞く。
これは「包み込み」とでも訳せば
よいのだと思うが、この多様な
価値観、利害関係を持つ人々を
上手く巻き込み=「包み込み」
ながら、目的に向かって進んで
ゆくスタイルが、今求められる
リーダーシップなのだ、そんな
解釈をした。
昨日はまだ序盤戦、といった感じ
で、これから残り3週ほど連続して
講義を拝聴することになっており、
より具体的な話、詳しい内容が
追って色々聴ける予定。
週末の楽しみが一つ増えた。
そんな昨日のセミナーで、正に
リーダーシップの発露を直に
見る機会に恵まれた。
Jean 女史は当然日本語は話せず、
最初と最後の挨拶で日本語に
トライした以外は終始英語で
お話しになっていたわけだが、
ZOOMのチャット欄にそのお話の
簡潔な要約を適宜入力してくだ
さっている方がいらした。
事務局の方がやってくださっている
のだとばかり思っていたら、さに
あらず。
何と、私と同様に普通の参加者の
お一人であったのだ。
終了後に、事務局の方々が口々に
「助かりました」「ありがとう」
といった言葉を繰り返していた
のを見て、私もその方が事務局の
「仕込み」ではないことを知った
のである。
Jean 女史が、気を遣ってある程度
ゆっくりお話しくださっていた
とはいえ、必ずしも専門ではない
分野の英語を聴くので、私の場合
には翻訳を即座にチャットに打ち
込むなどという芸当はできようも
なかった。
それを自ら買って出て、100名を
超す参加者に奉仕する形で、
粛々と日本語訳を打ち込んでくだ
さったのだ。
「自らの行動をもって範を示す」
というのがリーダーシップの
本質だと思うのだが、その行為は
「リーダーシップ」
以外の何物でもない、そのように
感じたのである。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。