「ナッジ」を理解して活用する
先日こちらの記事で紹介した「ナッジ」。
中身については、詳しく触れなかった。
行動経済学の大家である
リチャード・セイラー シカゴ大学教授と
キャス・サンティーン ハーバード大学教授
のお二人が、2009年に既に共著を出版して
おられる。
日本では『実践 行動経済学』のタイトルだが、
実は原著が『Nudge』(ナッジ)となっている。
元々の単語「nudge」というのは
以下のような意味合いである。
これが、行動経済学用語に転用されている
というわけ。
「ナッジ」というコンセプトの基本的な
考え方は、とてもシンプルだという。
選択を迫られている人が、
いざ決断をするときに、
その文脈を変えれば、
その人が行う決断をより良いものに変える
可能性を高められる、
というものだ。
最も有名な例として、アメリカの企業年金の
例が挙げられる。
従来、加入するかどうかは本人が選択する
必要があったところ、ある時から
全員が自動的に加入するのをデフォルト
(初期設定)に変更した。
その結果、61%だった加入率が、83%へと
大幅にアップ。
人々の老後資金の貯蓄を推奨する立場からは、
とても望ましい行動変容を促すことが出来た
ということである。
「ヒューリスティック」という言葉がある。
Wikipediaよりもグロービスのサイトにある
説明の方が分かりやすいので、以下引用する。
意思決定を早めるため、人間はついつい
このヒューリスティックに頼る。
しかし、緻密に確認していない分、
いわゆる「バイアス」の影響によって
適切な意思決定とはならない恐れが
大きくなるのだ。
この「バイアス」の影響を極小化し、
ヒューリスティックに頼った場合でも
適切な意思決定・行動変容へと至れる
ようにする仕掛け、
それが「ナッジ」ということになる。
「ナッジ」
「ヒューリスティック」
「バイアス」
カタカナ語の連発で、スッと理解
しにくい部分もあるかもしれない。
詰まるところ、これらが使われた
事例を知ることで、肌感覚で理解する
のが良いのだろう。
先ほどの年金の例以外にも、
少し調べれば多くの事例がヒット
する。
あえてここに事例は書かないので、
興味のある人は是非ご自身で調べて
みて欲しい。
こうすることが、あなたに「ナッジ」
の概念を定着させる可能性を高める
「ナッジ」になり得るはずだ。