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パーソナライズドスキンケア
資生堂がOptuneというブランドで、個々人のその日の肌の状態に応じて最適化された化粧品を調合するツールを開発し、大々的に売り出し始めたことを半年近く前に取り上げたことがある。
二子玉川の蔦屋家電で、実際にお試しが出来るコーナーを設けて、お客様で賑わっていたのが記憶に新しい。
Optuneが先行はしたが、他の化粧品会社も水面下で粛々と開発にしのぎを削っていたのだろう。
丁度本日10日まで、米ラスベガスで開かれている「CES2020」で、P&Gとロレアルという化粧品会社のトップクラス二社が、共にパーソナライズドスキンケア機器を発表したらしい。
デジタルツールが日進月歩で進化し、遺伝子レベルの健康医療技術もまた然り。
そもそも人は千差万別、全く同じものが誰にも当てはまる時代は終わり、マスマーケティングが時代遅れとなり、スモールマス、やがて究極的には一人ひとり個別=パーソナライズされたマーケティングへと進んでいくというのは、必然的な流れなのだろう。
開発された当初は、投資回収をする必要もあって、当然高額となり、いわゆる「イノベーター」、「アーリーアダプター」といった人々しか手を出さない。
それが、程なくしてコストも下がり、消費者が手にする価格もこなれて来て、一般の人の手にも入りやすくなる。
このサイクルがどんどん早くなっているのが、商売をやっている側としてはなかなか厳しいところかもしれない。
マーケティングでは「差別化」が重要だと説かれる。
この「差別化」、先日も紹介したコンサルタントの佐藤義典氏によれば、主に3つの軸がある。
「手軽軸」
早い、安い、気軽、といった手に取りやすさで勝負する。
「商品軸」
商品の品質で勝負する。
「密着軸」
お客様のかゆいところに手が届く、きめ細かなサービスで勝負する。
これら3つの軸は、どれか1つについて突き抜けることで競合との差別化を図りつつ、他の2つについても平均的なレベルを保つことで、お客様の選択肢から外れないようにすることが必要である。
ただ、経営資源が常に限られたものである以上、どれもこれも秀でるということは不可能なので、どれか1つに絞り込み、磨き上げて差別化の源泉とするのが賢明なのだ。
パーソナライズ化粧品は、まさに上記の3番目「密着軸」で差別化を図る典型である。
この軸で差別化が上手くできれば、お客様をロイヤルユーザー化することがより容易となり、ブランドに安定的かつ確実な収益をもたらしてくれる源泉となる。
とはいえ、今後、雨後の筍のようにパーソナライズの分野で競争が激しくなるだろう。
資生堂、ロレアル、P&Gといったところは成功に最も近い位置にいるのは間違いないが、思いもしないような伏兵が出て来てもおかしくない分野でもあり、興味深くウォッチしていきたい。
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