因果論の限界
近年注目を集めている起業理論、
「エフェクチュエーション(Effectuation)」
について、年末に再紹介した。
この「エフェクチュエーション」は、
米・ヴァージニア大学で教鞭をとる、
サラス・サラスバシー教授が体系化
したもので、日本でも訳書が既に出版
されている。
この本を訳された、神戸大学准教授の
吉田真梨さんが、KOKUYOのサイトに
おけるインタビュー記事で、かなり
詳細にこの理論を語っている。
後編の冒頭に、
「エフェクチュエーション」
の対概念として、
「コーゼーション(Causation)」
という言葉が出てくる。
これは、日本語にすると
「因果論」
である。
原因があるからこそ、結果が出る。
それゆえ、結果を出すために、
その原因を作り出すことを考える。
そのような思考様式だと思えば
良い。
一般的には、この「因果論」的な
考え方が「常識」的だろう。
しかし、起業の場面では、その逆を
行くべきだと考える。
それが「エフェクチュエーション」的
発想なのである。
「原因 ⇒ 結果」の反対は、
「結果 ⇒ 原因」となる。
まずやってみて、結果を出してみない
ことには、真の原因は分からない。
だから、とにかく結果を出してみよう。
そんなニュアンスとなろうか。
「因果論」の逆なので、「果因論」とでも
呼べばよいだろうか。
しかし、この言葉を検索しても、まともに
解説しているページはなさそうで、ほぼ
「因果論」のページしか表示されない。
分かりにくく、使いづらい言葉として、
誰にも見向きもされなかったのだろう。
それはさておき、マーケティングという
のは、コーゼーション的発想がかなり
強い考え方だと思われる。
マーケティングに限らず、ビジネスに
おいて多く使われているフレームワーク
の類は、基本的にコーゼーション発想が
基礎にあると見てよい。
しかし、最初からそうしたフレームや
理論があったわけではない。
誰かが最初に勇敢な一歩を踏み出して、
その結果、成果を客観的に見直すことで
「因果」を発見し、理論化したと考える
のが妥当だろう。
つまり、最初はみんな「結果論」だった
はずなのだ。
だから、フレームワークや理論をなぞる
ことで、ある程度の成功を収める確率は
確かに上がる。
と同時に、破壊的、爆発的な成功を収めた
という話は、あまり聞かない。
そうした破壊的、爆発的な成功は、むしろ
スタートアップに多く、それらは多くの
場合、
「偶然」
「予想外に」
「思わぬところで」
起こるのである。
そんな、効果が得られた「偶然の産物」を
得るためのフレームワークを作ってしまった
というのが、「エフェクチュエーション」
なのであり、非常に画期的な話だと感じる
のは私だけではあるまい。
マーケティングとエフェクチュエーションの
関係を、自分なりに整理しようと思い立ち、
つい最近取り組み始めたところ。
ある程度スッキリした段階で、ここでも
小出しにしていこうと思っている。
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「エフェクチュエーション」について、
先に紹介した吉田真梨先生が直接
講義してくださる勉強会が、
メルマガ界の巨人・鮒谷周史さんの
主催で、来る1月15日に行われる。
この記事や、上記リンク先の記事を見て
ピンときた方、逆にモヤモヤする方、
学んでおいて決して損はないどころか、
VUCAと言われるこの時代に確実に
役立つ考え方をインストールできる
のは間違いない。
検討してみてはいかがだろうか。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。