返報性の原理の効果
「Reciprocity」
という単語がある。
カタカナであえて表記すると、
「レセプロゥシティ」
だろうか。
「互恵主義」とか、「相互主義」
などという訳が充てられることが
多い印象。
つまり、お互いに与え合いましょう、
「Give & Give の精神」と言っても
良いかもしれない。
学生の頃、GATTやWTOに関する
研究をしていた関係で、
英語文献にこの単語が頻出だった。
自由貿易の原理原則を語る上で、
互恵主義(相互主義)というのは
欠かせない考え方の一つ。
お互いの関税を同程度に優遇しあう
ようなことを指す。
この単語は、『影響力の武器』という
名著においては、「返報性」という
訳語が充てられている。
返報性の原理に関しては、丁度ひと月
程前に、こちらでも書かせてもらった
ばかり。
何か厚意を受けると、そのお返しを
しなければ、という心理が働く。
それを指して、「返報性の原理」と
呼ぶのである。
同僚との会話の中で、かつてこの
返報性の原理を見事に実践で確認
したことがある、そんな話を聞いた。
お客様にアンケート調査をしよう、
という事案で、丁度『影響力の武器』を
読んだので、先にプレゼントを渡して
からアンケートを取る場合と、
アンケートに答えてくれた場合に
プレゼントを差し上げる従来の場合
とで、差を測ってみたのだという。
何と、先にプレゼントを渡した場合、
アンケートの回答率は20%も跳ね
上がったのだそうだ。
プレゼントを差し上げるという
意味では全く条件は一緒なのにも
関わらず、アンケートを取る前に
するか後にするかでこんなに結果が
ことなるのか!と衝撃を受けたと
言っていた。
通販にたずさわる人間にとって、
この本はいわばバイブル。
極めて示唆に富む、重要な原理原則
たちが、これでもか、と居並ぶ。
そんな中、6つある原理原則の中の
筆頭、最初に説明されているのが、
この「返報性の原理」なのである。
サンプリングも、返報性の原理の
応用である。
食品で言えば「試食販売」。
「美味しいから食べてって!」
「坊ちゃん、お腹空いてるでしょ?!」
「お嬢ちゃん、これ美味しいよ!」
上手な販売員は、できるだけ相手に
「買わないでもOKオーラ」を出し、
とにかく試食してもらうことに注力
する。
そして、いざ食べてしまうと、
食べてしまった見返りに、
「買ってあげなければ!」
そんな「返報性の原理」に縛られる
人が一定の割合で出て来る。
非常に単純な話なので、
ほとんどの人は、
「こんなことにダマされない」
「そう簡単には引っ掛からない」
そう思うのではないか。
自分は理性的に行動できる、
そんな風に思うかもしれない。
しかし、自分が過去に買い物した
経験を振り返り、この「返報性」に
してやられた経験がないか、
是非一度見直してみて欲しい。
一度や二度は、理性のタガが外れ、
「返報性」の威力にまんまと
してやられたことがあるのでは
ないかと推測するのである。
それほどにこの「返報性の原理」は
強力。
「悪用厳禁」である。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。