社会的な課題の解決こそPRの本領
これぞPR、という企画だ。
キッコーマンや味の素など、日本を
代表する食品メーカー6社が共同で
立ち上げた、その名も
「#うちで食べよう」
という、Twitter企画である。
コロナ禍において、外食がままなら
なくなり、「おうちご飯」の比率が
非常に高まっている。
レストランは、お持ち帰りの提供で
生き残りを模索するところが増え、
スーパーは売上が一気に増大する等、
消費の現場は様々な変化に見舞われて
いるのは、日々誰もが実感している
ところだろう。
世のお母さんたちは、これまでも
十分大変だったところに来て、
おうちでご飯を作る回数を増やさ
ざるを得なかった。
子どもたちが給食を食べてきたり、
外食してきたりという回数が、
従来はそれなりにあったはず。
それが一気になくなって、毎回
家で食べるわけだから、負担は
一気に増加。
勢い、「何を作ろうか・・・?」
という悩みが重くのしかかって
来たのである。
そんな「社会的な課題」とも言える
お母さんたちの悩みを、少しでも
解決しよう、サポートしよう、
ステキな思いが透けて見えるのが
今回の企画の良いところ。
もちろん、各メーカーが、自分たち
の販売している商品を料理の中で
使ってもらいたい、使ってもらう
ことで自社の売上につながる、
そういう実利的な思惑があるのは
否めない。
しかし、自社だけの独り善がり企画
とは異なり、
改めて自分の冷蔵庫を見ると、いろいろな食品メーカーの調味料が置いてありました。お客さまの食卓も一社ではなく、いろいろな企業の製品でできあがっているのだと気づいたことがきっかけ
と記事にも引用がある通り、
お客様目線で、お客様が実際に
どんな暮らしをしているのかを
踏まえた上で、企画されたことが
伝わってくる。
その上で、自社だけに囚われること
なく、どの家庭にもありそうな
調味料を中心とした食品メーカーが
集結することで、おうちご飯で
何を作ろうかと悩んでいる皆さんの
お役に立つコミュニケーション、
具体的にはレシピのレパートリーを
展開したのだ。
私の会社でも、現在コロナの影響で
マスク着用が避けられないがために
肌荒れとなってしまった人が増加
している、という社会的な問題を
踏まえて、ちょっとした調査を行い、
それを元にニュースを流す等の
試みをしている。
最終的に自社商品の販売につながる
までの道のりはとても長いのだが、
それより何より、今の社会の状況下
で問題を抱えている人がいて、
それを多少なりとも解決するために
自社商品に出来ることがあるのなら、
それをお伝えしていきましょう、
という趣旨。
地道に問題解決を続けていくことで、
それに共感してくれる人が少しずつ
現れてくれるなら、とても有り難い。
社会との良い関係を、そうやって
構築していくのが、Public Relations
(PR)の役割。
企業も、社会の一構成員。
「企業市民」という言葉もある。
社会のお役に立てるように、有益な
情報があれば出していく、そんな
スタンスが大切だと思うのである。