クリスピー・クリーム・ドーナツ@マルエツ
チャネルというのは元々「水路」、
「海峡」というような意味合い。
転じて、「販路」を指すように
なっている。
「販路」「売場」を確保できないと、
商品がお客様の手元に届かない。
それゆえ、チャネルの開拓というのは
経営、マーケティングにおいて、
地味ながらもかなり重要。
マーケティングの「4P」の中に
「Place」(売場)というのがあり、
これが正にチャネルのことである。
近所にあるマルエツというスーパーで、
最近クリスピー・クリーム・ドーナツを
売り始めた。
専用のショーケースが運び込まれ、
毎日補充されている様子。
どれほど売れているのかは、
正直よく分からないのだが、
とりあえず最初は「物は試し」と
思って買って食べた。
当たり前だが、通常の店舗で買うのと
同じ味のドーナツである。
背景に何か思惑があるのか、
興味を持ったので調べてみると、
9月末にヤフーニュースで取り上げ
られていたようだ。
「食品新聞」という業界紙の記事を
取り上げた形で、記事タイトルに
目指したのは「旬」「新」「話題」の情報がリアルに感じられる売場づくり
とある通り、売場の「鮮度」を上げる
試みの一貫であるらしい。
確かに、マルエツとしては、クリスピー・
クリーム・ドーナツの知名度、ブランドを
使って売場をにぎやかすことができる。
話題性はそれなりに高いだろう。
クリスピー側も、この話に乗ったという
ことは、通常の店舗以外のチャネルを
開拓したかったということのはずだ。
普段あまり利用することがないため、
昨今の状況を知らなかったが、
ウェブサイトのストアニュースを
見る限り、かなり積極的に売場を広げて
行こうとしている様子。
新店オープンの頻度がそれを物語る。
コロナ禍を経験して、デリバリーの充実を
進めているだけでなく、いわゆる「催事」
への出店も積極的なようだ。
様々なショッピングモールに期間限定で
出店している様子がうかがえる。
催事に出ることのメリットは、
単に売上・利益を上げることにとどまらず、
その地域における出店のポテンシャルを
図れるところにある。
様々な地域、場所で経験を積んでいけば、
ベンチマーク対象が増える。
成功と失敗の境界をある程度決めて、
出店地候補の優先順位を付けていく
ことに使えるだろうと推測する。
彼らの公式サイトでは、マルエツで展開
していることへの言及は見られない。
何かしら、ニュースとして載せてあっても
おかしくないと思うのだが、彼らの思惑は
どこにあるのだろうか。
正直なところ、マルエツというスーパーに
彼らの商品が並ぶというのは、
ブランドの価値を下げる方向に影響する
可能性がある。
彼らの店舗は、デパートや駅ビル、イオン
などのショッピングモールを中心に展開
されているわけだが、
スーパーだと格が下がる感じが否めない
のだ。
専用ショーケースを準備しているあたり、
ブランドとしての体面を保つ目的で、
売場で高級感を維持する努力をしている、
といったところではなかろうか。
とはいえ、彼らとしてはきっちり「実」が
取れれば長続きするだろうし、
他のチャネルと比べて見劣りすれば
早々に撤退もあり得る。
マルエツにおける専用ショーケースでの
販売がいつまで続くのか、しばらくの間
注視しておきたい。