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緊急事態宣言とTV視聴率

緊急事態宣言が生活者に及ぼした
影響は間違いなく甚大だ。
全国的に解除になったとはいえ、
すぐに生活が元通りになるわけも
なく、そもそも元通りになること
自体が望むべくもなく、
「ニューノーマル」
と最近言われる新しい秩序、
新しいルール、新しい基準が
徐々に世の中で幅を利かせていく
ことになるのだろう。

この、新型コロナウイルスが猛威を
振るった状況下で、生活者の
テレビ視聴傾向がどのような変化を
来したのか、ビデオリサーチ社が
最近プレスリリースを出していた。

我が家には、大学生と中学生が1名
ずつおり、両名とも学校は休校状態。
良し悪しは別として、通学していた
頃に比べると朝起きてくる時間は
明らかに遅い。
私も在宅勤務が増え、通勤ラッシュを
避けて朝早めに出るために頑張って
早起きしていた時に比べると、少し
ばかり遅い起床となっている。

そんな我が家の状況が見透かされたか
のような調査結果に思わず苦笑した。
いきなり冒頭の見出しが、

「在宅勤務や休校でテレビ視聴が終日増え、
朝のピークは7時台から8時台に移動」

である。
どうも我が家は至って平均的な生活
スタイルらしい。

また、全般的にTV視聴が増加傾向に
あるのも、今回の調査結果の特徴
だろう。
家にいる時間が長いと、ついTVを
つけてしまう人が多いというのは
容易に想像するところ。

ところで、今年の4月から始まった、
業界界隈における大きな変化に
ついてはご存知だろうか。
従来、視聴率というのは世帯視聴率、
つまり「世帯」単位での数字しか
提供されていなかった。
それが、いよいよ「個人」単位での
全国視聴率が提供されるように
なったのである。
これもビデオリサーチ社のニュースを
引用しておく。

デジタルメディアが怒涛の勢いで
増加し、そのプレゼンスを高めて
来たのは周知のとおり。
ここに来てコロナの「お陰」で
視聴者数や視聴時間が増えている
とはいえ、中長期的にはTVは
「ジリ貧」メディアであったことは
明白な事実である。

そのメディアを、広告主に価値ある
ものとして売り込むためには、
どんな人が、いつ、どんな風に
視聴しているのかを出来る限り
明らかにしておくべきだというのは
ある意味当然だ。
しかし、これまでは技術的な問題や
費用的な問題で、詳しい視聴データ
を取得し公開するところにまでは
至っていなかった。

ようやく2020年4月から、視聴率の
調査が大幅に変わり、今まで明らか
でなかったデータが広告主にもより
透明性高く提供され始めたところ
なのである。

ただ、データはあくまでデータ。
データによって視聴者の行動が
よりクリアに把握できるからと
いって、広告主がすぐに広告を
増やすわけではない。
その行動を踏まえて、背後にある
視聴者のホンネ、インサイトを
探り当てることができれば、それに
基づいた広告出稿の提案などに
つながっていくだろう。

緊急事態宣言は、TV局にとっては
思わぬ業績向上要因となったに
違いないが、その間にこの視聴率
調査の変化などを踏まえた体制の
変革を進めていたところが、この
先力強く生き残っていくのでは
ないか、そんなことを思う。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。