景観維持は地域ブランディングの基本
「牛に引かれて善光寺参り」
信心のない男が、牛に引っ張られて
行くうちに善光寺に辿り着いた話。
などと思っていたら、全くもって
記憶が正確性を欠いていた。
人の記憶とは、かくもいい加減なもの。
「信心のない」は合っていたものの、
男ではなく老婆が、軒に干していた
布を牛に奪われて、それを追いかけたら
善光寺に辿り着いていた、という話。
しかも、その続きもある。
正確な内容は、当の善光寺のサイトに
載っているものを見ていただいた方が
良いだろう。
その善光寺では「お朝事」と呼ばれる
朝のお務めが、365日欠かさず行われて
いる。
その様子を見に行こうということで、
眠い目をこすりながら参道を歩き、
善光寺本堂を目指した。
この参道が、非常に美しく整っており、
地域を挙げてのブランディングの見本の
ようだと感じたので、ここに取り上げる
次第。
参道の右も左も、クラシックなたたずまいの
屋並が続く。
白壁が主流で、高さもしっかり揃っている
様子が写真からも分かるだろう。
東京の菓子舗である凮月堂、
小布施の栗菓子で有名な竹風堂が
並んでいるが、いずれも白壁にて
趣きある店構えである。
そして、こちらは善光寺郵便局。
何とも素敵な建物ではないか。
屋並に溶け込みつつ、しっかりと
強めに自己主張。
数ヶ月前に箱根を車で通過した際に、
茶色のローソンを発見したことを
こちらでも書いた。
ここで書いた通り、景観保護を目的に
街並みを統一することが、このような
歴史のある街では行われている。
善光寺は、何と1400年もの歴史があり、
古くから日本有数の寺院としてその名を
馳せた存在。
故に、門前町も一丸となって景観を
守ろうという意識が強いのだろう。
その景観の美しさが、また善光寺へと
戻って来る「お客様」を作っている
部分が少なからずあるはず。
ここを理解せず、ちょっと観光地として
人気が出ると、芸能人が経営するお店を
やたら誘致するなどして、それまでに
培ってきた伝統や雰囲気をぶち壊して
しまう愚挙に出る街が無きにしも非ず。
この善光寺でも、一店舗、二店舗では
あるが、ややこの屋並にそぐわない店に
出くわした。
それでも、恐らくは本来のデザイン
からかなり抑えて、善光寺参道らしく
仕上げたのだろうな、そんな気持ちが
垣間見える様子だった。
そしてこちら、見ての通りの
スターバックスである。
瓦の上の看板が、木製の格子窓とあい
まって、何ともいい味を出している
ではないか。
そして、例によって白壁の日本家屋。
朝早かったのでシャッターが閉まって
おり、店内の様子は見られなかったが、
きっと素敵なあしらいとなっているに
違いない。
一貫して、古き良き日本を感じさせる
美しい屋並。
これを守り続けるには、街全体が協力
体制を構築した上で、継続的な努力が
欠かせない。
それを全うしてこそ、善光寺のような
地域ブランディングのお手本と言える
事例が可能になるのだろう。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。