利他の精神による経営を貫く

ピュアな気持ちで、利他の精神に則って
会社を経営する。
「年輪経営」を標榜する、伊那食品工業の
塚越寛さんは、正にそのような経営を体現
してこられた。
本も沢山出版されているので、ご存知の
方も多いと思われる。
このnoteでも、何度か取り上げさせて
もらった。

理想的には、利他の精神を徹底的に貫く
経営をしたい。
とはいえ・・・本当にそれを貫き続ける
のは容易ではない。

その容易ではないことを、静岡県は
浜松市で実現している会社がある。
都田(みやこだ)建設という、従業員
100名にも満たない小さな会社。
大々的にPRすることもない。
にもかかわらず、噂を聞きつけて
視察に訪れる人が後を絶たない。
人口わずか6,000人の町に、年間の
訪問者数が10,000人を超えるという
のである。

この都田建設を率いるのが、
蓬台(ほうだい)浩明社長である。
その蓬台さんが書かれたこちらの本を
読み始めたところ、引き込まれて
一気に読み切ってしまった。

タイトルからは、一見何の本かが
分かりにくいのだが、利他の経営を
実践したことをレポートしてくれて
いる本だと言って良さそうだ。

ご多分に漏れず、蓬台さんも一足飛びに
成功へと駆け上がったわけではない。
様々な失敗、トライ&エラーを繰り返し
ながら、少しずつ少しずつ自分たちの
理想へと近付いていき、いつしか夢を
次々と叶えるステージにまでこぎつけた
そのプロセスが、本書には綴られている。

詳しくは本書に譲るが、タイトルにある
通り、フィンランドの首都ヘルシンキで
実際にお神輿をかつぎ、フィンランドと
日本の国交100周年を記念するイベントと
して見事に成功に導かれた。

そもそも、なぜ浜松の企業がフィンランド
と関係があるのか、私もその結びつきが
全くと言っていいほどピンと来なかった。

簡潔に説明するなら、蓬台さんが都田建設
のビジョンとして掲げた、
DLoFre's*(ドロフィーズ)
という考え方を突き詰めていくうちに、
ドロフィーズキャンパスと呼ばれる
「場」づくりを進めることになり、
そこで扱う商品たちが、一貫して北欧、
特にフィンランドのモノが多いことに
気付いて以降、価値観が近いことや、
様々なご縁も重なって、ドロフィーズ
キャンパスをフィンランドヴィレッジと
呼ぶようになったのである。

*Dream、Love、Freedomの頭文字を
取った造語。都田建設が、夢、愛、
自由を価値観の根幹として活動して
いくというコンセプト、宣言。

夢とか愛とか自由とか、ビジネスは
そんな青臭い言葉では動かない!
なーんてことを思う人も少なくない
と思うが、これをやり切っている
のが蓬台さんの、都田建設さんの
凄いところ。

恥ずかしながら、つい最近までその
存在を知らなかったのだが、
蓬台さんは既に多数の著書を出されて
おり、その上できちんと実績を積み
上げていらっしゃるということで、
正しく有言実行の人だということを
知った。

「譲れば叶う」というのが、最後の章の
タイトルになっている。
利他の精神そのものである。
お客様を、相手のことを、尊重し、
思い遣って、「お先にどうぞ」の精神で
向き合う。
すると、いつの間にか自分の夢も叶って
いる、そんな世界観。

本の内容をかいつまんで伝えようと
すると、どうしてもフワッとした
感じになってしまうのが歯がゆい。
読んでみて一番の収穫は、このような
「きれいごと」に見えることも、
本気で推進すれば実現可能だという
「勇気」を授けてくれることだと
言える。




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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。