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商売繁盛の法則は古今東西共通
ここでよく紹介する『致知』に、
社会教育家の田中真澄氏が
「人生百年時代を生きる心得」
という連載をされています。
氏は、日経マグロウヒル社(今の
日経BP社)で『日経ビジネス』の
創刊に携わった方。
その後独立されて、社会教育家と
して講演・執筆活動をなさって
いらっしゃいます。
2024年1月号では、
「起業家が肝に銘じておくべき
商売繁盛の法則」と題して、
「商売はよい顧客の数で決まる」
という大原則を紹介していました。
この大原則は、氏が新卒で入った
日本経済新聞社から、出向で日経
マグロウヒル社に移ったその直後、
ニューヨークにある本社から届いた
ダイレクトマーケティングの資料の
中に、次の一文を見つけて強烈な
印象を抱いたのが最初だったという
ことです。
「事業の盛衰はよい顧客の数で決まる。顧客を選ぶ権利は事業主側にあるのだから、普段からよい顧客を選別し、その良客のリストを増やしていくことに努力していくことが肝要である。なぜなら、We live on the lists. (私たちは顧客のリストの上で生きている)の法則を活かさなければならないからである」
「お客様は神様です」ということが
よく言われますが、お客様は決して
神様ではない、という趣旨のことを
ここに書いたことがあります。
お客様が大切なのは言わずもがな。
しかし、事業主側は、お客様を選ぶ
権利があるのです。
そう、選んでいいのです。
お客様だから、何が何でも言うことを
聞かなくては、なんてことは決して
ないのですね。
そして、よいお客様を見つけたら、
時間と労力をかけて信頼関係を築き、
お互いがWin-Winになるようにする
ことこそが、経営にとって大切なの
だと思うのです。
江戸時代の商売人にとって、
命の次に大切なのは、
「大福帳」と呼ばれる顧客名簿だった!
という話に記事で触れたことがあります。
何百年も続く企業が、世界の中でも
けた外れに多い日本において、
古くから商売繁盛して来た企業は
顧客名簿=リストを最重要視してきた
ことが分かりますよね。
ダイレクトマーケティングを「発明」
したアメリカから輸入されてきた
理論と、超長寿企業の多い日本で
ずっと守られ続けて来た考え方とが、
同じ結論・原則を共有していたという
ことになります。
スモールビジネスを既に展開している
方にせよ、これから起業する方にせよ、
手掛ける商売を繁盛させるためには、
まずよい顧客を見つけ、あるいは選び、
より良い関係性を築いていくことこそが、
遠回りなようで一番の近道なのでは
ないでしょうか。
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