「機を見るに敏」を心がける
ベストセラー作家の川上徹也さんが
お書きになった『江戸式マーケ』と
いう本を紹介したことがあります。
江戸時代に活躍した実在の人物を、
マーケティングの視点から読み解く
という、非常にユニークな視点の
面白い本でした。
ドラッカーが、マーケターの元祖は
三井高利だと言っていたくらい、
江戸時代の商人はマーケティングに
長けていたのです。
その『江戸式マーケ』が、この度
文庫版になって本日発売開始される
とのこと。
タイトルが少しばかり進化しています。
この話を聞いて、
さすがは川上さん!
と思わず膝を打ちました。
この本の中には、蔦屋重三郎が登場
するのです。
そう、来年のNHK大河ドラマの主人公と
なる「つたじゅう」です。
今回の文庫版では、蔦屋重三郎の章を
しっかりと前に持って来て目立たせる
という変更も抜かりなく行ったそうで、
もう「さすが!」としか言いようが
ありません。
来年の大河ドラマの制作発表は、
もう半年強ほど前、4月27日でした。
恐らく発表された後にすぐ動き始めて、
こうして年が明ける前のタイミングで
文庫版発売開始にこぎつけたのだと
推測しております。
正に「機を見るに敏」とはこのこと、
そんな感想を抱いたのでした。
同じ「機を見るに敏」との感想を抱いた、
全く別のお話も付け加えさせてください。
『致知』11月号に、ハイデイ日高の
神田正会長が、二十代に向けた記事を
寄稿されていました。
紆余曲折を経て「来々軒」を大宮に
開業した神田さんは、徐々にこの店を
軌道に乗せ、3軒目を模索するところ
まで来た1978年が大きな分岐点に
なったそうです。
当時は日本の外食産業の黎明期で、
弁当を持参していたサラリーマンが
徐々に手ぶらで新聞片手に出勤する
ようになるという変化を目の当たりに
していました。
ならば、ラーメン屋もチェーン展開
できるのではないか?
大宮から赤羽まで、京浜東北線の各駅に
出店してしまえ!
この「時代の変化を掴んだ」方針が
大当たりして、みるみる会社を大きく
成長させたそうです。
こちらの事例もまた、
「機を見るに敏」そのものだと
言えるのではないでしょうか。
「チャンスの女神は前髪しかない」
という言葉をよく聞きますよね。
チャンスは過ぎてしまったが最後、
後ろ髪がないので掴みたくても
掴めないという含意です。
「チャンス」「機会」が目の前に
あらわれるのは一瞬のこと。
そこですぐさま掴みにいかないと、
二度と戻っては来ないと思っていて
間違いありません。
いつでも「チャンス」「機会」を
掴みに行ける態勢を、常に整えて
おきたいものですね。