アール・ブリュット(生の芸術)
日本人は、ことのほかアートがお好き。
上野公園界隈だとか、渋谷界隈などに
おいて、様々な展覧会、展示会があれば
押し寄せては大行列をなし、アートを
「消費」してきた。
今回のコロナ騒ぎで直近は落ち着いて
おり、今後はオンラインで鑑賞する
ような仕組み、それこそVRを使った
「ニューノーマル」な鑑賞方法がより
人気を博すのかもしれないなどと
感じている。
残念なことに、私自身は絵心がない。
というか、今一つ自信がない。
アートは好きだが、能書きをスラスラ
言えるような分野は何一つない。
センスがあると言いたいところだが、
そんなものも微塵もないのが残酷な
事実。
そんな私ではあるが、障碍者アートの
分野で著名な中津川浩章さんと、
作家の田口ランディさんのオンライン
トークショーを、グラフィック
ファシリテーターの山田夏子さんが
即座に絵にしていく、そんな素敵な
イベントに参加させてもらった。
「アール・ブリュット」という言葉を
中津川さんが最初から頻繁に使って
いたため、調べてみると、Wikipedia
では「アウトサイダー・アート」と
いう項目立てがなされている。
直訳すると、「生の芸術」。
かいつまんで説明すると、社会参加が
少々難しい、強迫的幻視者や精神障碍者
といった人々のアート作品のこと。
「社会の外側に取り残された者」の作品
だから「アウトサイダー・アート」と
いうわけ。
美術教育を受けずに、独学でアーティスト
になった人の作品なども含まれる。
中津川さんは、アーティストとして活動
を始めた初期の頃から、そんな
「アール・ブリュット」に似た作風の
作品をたまたま描いていたようで、
自然とその世界に引き込まれるように
入って行かれたようだった。
心ない人から、「そんなものに関わって
いるとキャリアにキズがつくよ」なんて
ことも言われたという中津川さん、
ホンモノはホンモノだからと一顧だに
せず、自身を貫かれてきた様子。
とても印象に残ったのが、
自分は楽器
という言葉。
自分の中に沸き起こってくる衝動、
気持ちなどを、自分という楽器を
通じて外に出していくのが自分の
やっている作業だ、というような
ニュアンス。
呼吸するみたいに描いていく、
自然体で自分の描きたいように
描いていく。
自分には全く分からない世界だが、
そういう世界があるんだという
ことを知っただけで、確実に
自分の世界は広がった。
興味深く思い、彼の経歴を眺めて
みた。
すると、私も行ったことのある展覧会
に思いっきり中津川さんが絡んで
いたことが分かった。
5年ほど前、キャンドルを販売する
会社にいた頃、東ちづるさんがリード
されているプロジェクトに少し
絡ませてもらっていた。
「ちがい」をハンディキャップと
せずに面白がってしまえ!
Let's MAZEKOZE!
というコンセプトで運営している
一般社団法人・Get in touchだ。
中津川さんはそこの理事もされて
いらしたのである。
興味を持って、色々広げていくと、
思いもよらないところでつながる
ものだなぁと実感。
これからは、ビジネスパーソンは
MBAを取りに行くのではなく、
アートを学びに行け!
なんてことも言われる時代。
「アール・ブリュット」にも
是非注目をしていきたい。