「CTA」は必要悪か
外資系企業にいると、アルファベット3文字の
略語をやたらと使う機会が多い。
もちろん、日本企業でも似たような略語が沢山
あるのかもしれないが。
そんな話を、以前にも書いたことがある。
「アクロニム」とか「イニシャリズム」、
「アブリビエーション」などと呼ばれる
これらの略語。
全国共通で、誰でも意味が分かるもの、
例えば「UFO」(未確認飛行物体)とか、
「WHO」(世界保健機構)のようなものは
まだ良い。
しかしながら、結構ローカルな略称も
多く、私のように転職が多いと、行く
先々で新しい略語に出会い、覚えるのが
とても大変だったりする。
今の会社で新しく覚えたものに、
「CTA」
というものがある。
これは、「Call To Action」の略。
通販独特の用語で、
行動(Action)を喚起する言葉やモノ
という意味合いとなる。
通信販売は、リアル店舗での販売に
比べて、買う側がひと手間、ふた手間
余計に行動しないと販売が完了しない。
そのひと手間、ふた手間をかけても
それを買う!という意思決定の背中を
押さなければならない。
典型的な「CTA」の例としては、
説明を読んで買う気になっているECサイトのお客様に向けた、「購入する」というボタン
TVCMの中に出てくるフリーダイヤル番号と、「今すぐお電話を」というメッセージ
より詳しい説明を求めるサイト訪問者に向けた、「今すぐ資料請求する」というボタン
といったところである。
店舗では、店員さんがお客様の背中を
押すようなトークをすることも可能。
それを、オンラインの世界でやるのが
「CTA」だと言ってもいいだろう。
通販では、この「CTA」をしっかりと
お客様の導線に組み込まないと、
モノが売れない、話にならない、
それが常識という感じになっている。
しかし、である。
売るのを急かすような気がして、
個人的にはあまり好きではないのだ。
マーケティングは、モノを売るのでは
なく、売れるようにすること。
プッシュするのではなく、お客様の
側から「これください!」と言って
もらえるようにすること。
それが理想と考えてきたから、
なかなか「CTA」になじめない。
とはいえ、「CTA」があれば、
自分たちが自信を持って勧める商品を
手に取って、使ってくれる人が確実に
増える。
「CTA」がない場合と比べて、
世の中をほんの少しだけ良い場所に
することができる。
そう考えると、「必要悪」的な
ニュアンスで、やはり「CTA」は
ちゃんと入れておかないとね、
というような結論となる。
理想と現実、
プルとプッシュ、
マーケティングとセリング、
バランスを取ることが求められるのだ。
そんな中でも、できる限り
理想寄りに、
プル寄りに、
マーケティング寄りに、
仕事を進めたいものである。