「静脈産業」の雄
昨日紹介した、ユーロモニター社の
セミナーにおいて、明治大学で経営学の
教鞭をとる大石教授が紹介されていた
「会宝産業」という会社がある。
どこかで聞いたような気がするが、
すぐには思い出せない。
教授によれば、自動車のリサイクルを
担っており、昨今のSDGsの盛り上がりも
あって大注目の企業だとのこと。
そこで早速ググってみる。
「リサイクル」という言葉は、
非常にイメージが良い感じがする。
しかしながら、昔は「リサイクル産業」
などという耳触りの良い言葉はなく、
自動車であれば「解体屋」と呼ばれ、
あるいは「産廃屋」として、どことなく
暗いイメージが付きまとっていたものだ。
しかしながら、
光があれば、影がある。
表があれば、裏がある。
ピッチャーがいれば、キャッチャーが要る。
スターがいれば、脇役がそれを支える。
対になってこそ、社会はうまく回るのだ。
作るだけでは増えすぎるので、
再生、再加工の活用も必要。
リサイクルの必要性が声高に叫ばれる
ようになる流れの中で、
「動脈産業」「静脈産業」なる言葉も
生まれて来たように思われる。
動脈産業:資源を採取し、加工して製品を製造し、販売する産業
静脈産業:使用済み製品を回収し、再使用、再生利用、適正処分を行う産業
「静脈産業」と言われれば、
今までの暗いイメージに比べ、
その必要性、重要性がより人々に
伝わりやすいと感じる。
資源は有限。
人間だけが地球の貴重、希少な資源を
乱暴に使いまくっては、持続可能な
社会とはなり得ない。
この言葉は、そんな、当たり前ながら
非常に重要なことを教えてくれる。
そんな静脈産業の雄として、
この会宝産業が注目されている
理由は何か?
これは是非上記のウェブサイトを
見て欲しいところなのだが、
自動車のリサイクルという一点に
絞り込んで深掘りし、
ありとあらゆる問題解決に取り組み
続けた結果としての、世界90ヵ国に
広がるネットワーク構築(!)に
その一端がある。
それ以外にも、その経営力の高さを
伺わせる情報がサイトに掲載されて
いる。
SDGsや、健康経営について、特に
力を入れているようだが、
積極的に情報発信をしている
様子が見てとれる。
社会の公器として責任を果たそうと
するその姿勢が何とも素晴らしい。
産業廃棄物処理工場なのに、
周辺地域に溶け込んで、
ものすごくキレイな工場を運営
している有名な会社、石坂産業の
ことをつい思い出した。
これまでのリサイクル産業の
常識を覆すこれらの企業は、
SDGsが盛り上がる時勢に乗って、
益々活躍の場を広げていくことと
思われる。