ドラッカーという「山」にどこから登るか
富士山には、4大ルートと呼ばれる
登山ルートがあります。
吉田ルート
須走ルート
御殿場ルート
富士宮ルート
以上の4つですが、どのルートから登ろうとも、
富士山という山はただ一つですよね。
この、富士山をどのルートから登るか、
という話を、ドラッカーの学びに喩える
ならば、
マネジメントルート
マーケティングルート
イノベーションルート
NPOルート
などの様々なルートから登ることが
できますが、ドラッカーという山は
ただ一つ、微動だにせず屹立し、学びの
対象として悠然と我々の挑戦を待っている、
そんなことが言えるかもしれません。
先日行われたドラッカー学会のイベント、
「ドラッカーとの出会い」において
得た学びを2回続けて書いてきましたが、
今日で最後にします。
当日は、4人前後のグループに分かれて
それぞれの出会いのストーリーを語り、
それを各グループの代表者が簡単に
まとめて全体にも共有するという方式を
採っていました。
私がご一緒したグループだけをみても、
それぞれにユニークで大変興味深い
出会いのオンパレードだったので、
簡単に紹介させてください。
お一人は、現在経営コンサルタントとして
独立されている方。
前職のサラリーマン時代に、その会社の
社長さんがドラッカーのファンだったと
いうことで、勉強会が頻繁に開かれて
いたのだとか。
これは、なかなかラッキーな出会いだと
言えますよね。
理解のある社長が、リーダーシップを
発揮して、社内にドラッカーの流儀を
浸透させていく。
組織をよくするには、これが最善であり、
最短であろうと思われます。
もう一人、今はコンサルタントとして
独立、単身で活動されている方で、
前職は経営者として多くの部下を抱えて
いらした方。
その前職で、まだ経営陣に入る前に
新規事業を担当されていた頃のこと。
その経営陣に保守的なメンバーが多く、
実績を証明しようがない新規事業に
やたらと風当たりが強かったとのこと。
そんな時に、たまたま手にした名言集に
ドラッカーの以下の言葉が引用されていた
そうです。
これを読んで自分の境遇と照らし合わせ、
経営陣が「昨日のスローガン」に固執し
視野狭窄に陥っていることこそが問題で、
自分の仕事の方向性に間違いがないという
自信を得た、そんなニュアンスだったと
記憶しています。
最後のもうお一方は、前職で20年近くに
わたって経理畑で仕事をされてきた方。
キャッシュが潤沢にある会社だったのが、
社長が変わったのをきっかけにして、
利益は増えているにもかかわらず、
キャッシュがガンガン減り始めたことに
危機感を抱き、経営層に直訴。
しかしながら、体質がかなり古い会社
だったらしく、一介の女性社員が経営陣に
向かって声を挙げるなど言語道断、という
今ならコンプラ一発アウト!な風潮が
まかり通っていたそうで、
結局意見が通りません。
納得のいかない彼女は、色々調べていった
ところ、ドラッカーの言説に行き着き、
しかもそれが自分の違和感と全くもって
同じ論調であったため、我が意を得たりと
なったそうなのです。
そんな出会いだったが故に、
彼女は当初ドラッカーのことを
会計の先生だと思っていたのだとか。
私自身の出会いは、既に前々回、前回で
書かせてもらったので省略しますが、
読んでお分かりいただける通り、
4人が4人ともバラバラの出会い方で、
それぞれドラッカーの言葉と邂逅し、
そこから大いなる示唆をもらった点が
共通しています。
どんなルートでも、
どんな出会い方でも、
とにかくドラッカーに出会い、
それを自家薬籠中の物にしようと
努めることが、大きな果実を将来
もたらしてくれる。
集まった皆さんを見て、
そんな感慨を抱きました。