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映画THE FIRST SLAMDUNK声優さんの話

スラムダンクの映画を鑑賞してから、頭がスラムダンクのことで沸騰していたので、とりあえず吐き出して情報と感情を整理しようと思って勢いでnoteを作ってしまった。

おかげでしばらくは落ち着いた気持ちで過ごせていたけど、数日経ってまたソワソワしてきたので、前回の記事に書ききれなかったことについて綴ってみる。
主に「声優さんの話」
スラムダンクの映画化が発表されてから、職場にいるマンガ・アニメに造詣が深いAちゃん(20歳。スラムダンクは生まれる前の作品!)と何度もスラムダンク映画について話した。Aちゃんは映画化が決まった直後から「声優を変更したら荒れると思います」と言っていた。
私はアニメに詳しくないので、当然声優さんにも詳しくないし、アニメの声は「キャラクターに合っているか」「演技が上手いか」よりも「自分が聞き慣れるか」だと思っている。「スラムダンクは20年以上前のアニメだし、当時のファンもいい年だし、代わっても大丈夫じゃない?」と私が言うとAちゃんは「そうですね、90年代のアニメって演技の方法もセリフのテンポも今のアニメとけっこう違うんで、私なんかも代わった方が今のアニメファンは受け入れやすいと思うんですけど、リアルタイムで観てた人たちってやっぱり思い入れ強いですから」というようなことを言っていた。私もリアルタイムで観ていた世代で、たしかに今でも単行本を読んでいるとき頭の中には自然にアニメの声が響いてくるけど、だからって新しい映画で声優さんが一新されても全然構わないけどなぁ、なんて思ってた。
でもAちゃんの言ってた通り、声優発表の後は荒れていた。発表のタイミングややり方がまずかったという声も聞いたけど、どのタイミングでも炎上は避けられなかったのかもしれない。世間の炎上ぶりに驚きつつ、自分のスタンスは「声は聞き慣れれば大丈夫」というものなので、映画に対する期待が削がれることは全くなかった。
発表された5名の声優さんのうち、名前もお声も知ってたのが木村昴さんと三宅健太さん、名前だけ知ってたのが仲村宗悟さん。そんなレベルの私が完全な主観で、映画の声優について感じたことを感じたままに綴るので、ここから先を読んで不快に思われる方がいたらすみません。

さて、鑑賞。
リョータと三井と赤木は、違和感が全くなかった。特に三井と赤木はアニメ版とほとんど変わらないように聞こえた。後で三井役の笠間さんのインタビューを読んだら「スラムダンクの影響でバスケを始めて三井に憧れて同じポジションにこだわった」というようなことをおっしゃっていた。それで後に仕事で三井役を演じるなんて、その人生がもう漫画じゃん。リョータは別の声優さんだということはわかるけどリョータにピッタリなので全く気にならない。声が違うのにここまで違和感がないのはすごい。
で、ここからは完全に私の主観なのであしからず。正直に、本当に正直に言うと、桜木、流川、そして安西先生には違和感があった。この3人は、声質も話し方(演じ方というのかな)もアニメ版とはだいぶ違うように感じた。
ここからもっと正直に言うと、子供の頃アニメを観ていた頃もずっと、桜木と流川の声は原作漫画のイメージと違うと感じてたことを思い出した。アニメ版の桜木と流川の声優さんは声も素敵だし、演技もとても素晴らしいと心から思っているけど、それでもそれが桜木と流川の声ですと言われると「うんうん、わかるわかる」ではなくて「ふむふむ、なるほど…」となる感じ。
そして、アニメ版とはだいぶ違うと感じた今回の映画の声も、これが桜木と流川の声ですと言われたら「ふむふむ、なるほど…」となった。(声優さんには全く不満はない。むしろお二方ともこの映画をきっかけに好きになった)
ここにきて、あぁ、私は原作漫画の桜木と流川に声がつけられないんだ、と悟った。私にとっては漫画の桜木と流川が全てで、吹き出しで話す彼らが全てで、もう漫画の中で至高の彼らが完成しているんだなぁと。だから多分どんな声がついても、しっくりくることはないんだろう。そんなキャラクターは他にいないよ。やっぱり私にとってはスラムダンクは、そして桜木と流川は特別なキャラクターなんだなぁ。それがわかって感動してしまった。
問題は(別に問題ではないけど)安西先生だ。実は安西先生だけは「アニメ版の方がよかった」と感じてしまった。多分、アニメ版を知らずに映画を観ていたら何の抵抗もなく安西先生の声として受け入れていたと思う。この感情について「まだ聞き慣れてないから」と流すことはせず、しばらくの間考えていた。で、ふと思ったのは、ハリー・ポッターシリーズのダンブルドアのキャスト変更の時に感じた気持ちと似ているなぁということだった。ダンブルドアは2作目まではリチャード・ハリスが演じていたけど、逝去したので3作目からはマイケル・ガンボンが演じている。どちらも名優でイケオジ(というよりイケおじいちゃんかな?)でビジュアルも演技も文句無しなんだけど、ハリス演じるダンブルドアの方が茶目っ気と可愛らしさがあって、ガンボン演じるダンブルドアは冷たさと激しさがあるように思った。ハリス版ダンブルドアがドンピシャだと思っていた私は、このキャスト変更が初めは残念だった。でも、「物語の前半で幼いハリーに対してお茶目に接していたダンブルドアが、後半になるにつれて策士としての顔を見せる」というキャラクターの多面性を、二人の名優が演じ分けたと考えるととても贅沢なことだと思い直した経験があった。
同じように、スラムダンクという物語の前半では安西先生は仏といわれる穏やかな面を見せていたけど、物語が進むにつれて元々鬼コーチだった片鱗や、勝負師の面を見せるようになる。スラムダンクは安西先生の再生の物語でもあって、指導者として挫折と後悔の日々を送っていた先生が、指導と勝利への熱を取り戻していく話でもあると思っている。なので、アニメ版(トラウマからまだ立ち直りきれてない)安西先生と、山王戦(なんとしても生徒たちを勝たせてあげたい!)安西先生の変化を、二人の声優さんで演じ分けたと考えるとすごく贅沢なことをしていただいてありがとうございますという気持ちになった。
(ちなみにファンタスティック・ビーストのグリンデルバルドのキャスト変更についても似たようなことを感じたけど、スラムダンクじゃない上に長くなるので自重します)

長くなってしまったけど、山王のキャストが最高だったことも吐き出しておきたい。特にツボだったのは河田兄で、赤木と同系統の太い声がくるかなぁと思っていたら思いの外高めの声で、それがもうピッタリだった!思えば河田って2年前までは小柄だったわけだし、それゆえにパワーだけじゃなく「うまい」(by中村くん)プレイヤーなわけだし、あんな見た目だけど高校生だし、うんうん、河田はこんな声だよ。河田の声を聞くためだけに映画館に行く価値があると思う。あと沢北ね。完璧な沢北。もう完璧です。それしか言えない。

最後に、お正月に会った義理の兄に、映画を観たと話したら「声優代わったのはどうでした?」って聞かれて、改めて声優変更がリアルタイム世代に与えている衝撃は決して小さくないんだなと感じた。ここまで書いたことを1/3くらいの量にして話しておいた。


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