HBR読む2023/12(3)特集2「現場の人手不足に対処する」経営者が末端の低賃金労働者の一斉賃上げを決断できる方法
前回・前々回に引き続いて、HBR2023/12月号を読む。
特集2「現場の人手不足に対処する」について。
すきま記事「ポジティブ通貨」
特集1と特集2の間に1つ記事がありました。
自分自身のレジリエンス(なんかあっても復活する力があること)のために感謝が重要であり、感謝があった瞬間についてノートやエクセルに「ポジティブ通貨」をつけることを勧める。
また他人から自分へ感謝を通じて「ポジティブ通貨」が移動することを意識して「レジリエンスのポートフォリオを最大化する」。
⇒直前の特集1でHRテックのタレントマネジメントシステムの話をしていたから、この記事ではサンクスカードシステムの話になるかと思ったら、そこまではいきませんでした。
⇒こんな風に「通貨」だの「ポートフォリオ」だのという言い方をしないと話が通じないこの社会は世知辛いですね。根本的な親切さが失われたり、あらためて学んで身に着ける必要があるビジネス環境や現代社会がまことに世知辛い。
特集2の1記事目 最前線で働く従業員についての誤解と解決方法について
学者が経営者を再教育する長~い記事。前提が長すぎて本当に日本の経営者が読んでくれるのか気になってしまいます。
2021年の夏以降企業は色々な努力をして最前線の人材を職場に呼び戻そうとしたが再雇用はままならず、パンデミック以前と同様の状況には戻らない。
一過性の人手不足というのは勘違いである
企業の上層部は低賃金労働者について勘違いがあるのでは
低賃金労働者の生産性を高めて「会社にとどまって成功しよう」という気を起こさせるようなマネジメントをするべき
⇒根本的な問題は、企業組織が時間労働者のマネジメントを誤ったのだ!と断定するまでに扉を含めて3ページかってます。欧米の経営者はMBAがあってやっと経営者のスタートラインに立てるという風なようなので、読者である経営者はおそらく学生時代を含めて20年くらいかけてその地位を得た人たち。この記事はそういう人たちに価値観の転換を求めるものなので、このくらい丁寧にうやうやしくやらないと話が通じないのかもしれないですね。
⇒90年頃までの日本ではこうだったのでは…?個人的には、転職についての記事の冒頭ででも書きましたが、同じところで長く働けないことこそ不安定で不幸だと思ってきました。00年代から言われてきた「これからの仕事は流動的」というのは、ポジショントークではないかと思ってきました。もちろん流動的でないと時代に取り残されるということには同意しますが、同じ企業の中で流動的にすればいいのです。働く側だという立場はそう簡単に動かせませんので。
アメリカでは時間労働者の数が給与労働者を40%も上回る
アメリカで10年ぐらい前(2012年)に低賃金労働者を始めた約18万人を追跡すると5年後も全体の60%が同じ仕事をしていた。この低賃金労働者を抜け出した人達は接客・飲食・小売業界とは別の業界に行き、こういう業界は女性の比率が高くて貧困が続きやすい。
⇒ちなみに日本では、期間の定めがなく最初の5年間は期間にあわせて雇止めに遭う可能性がある非正規労働者(時給で働くアルバイトやパートの人々)は全体の40%になってしまい、随分増えていることが問題になっている。そして、のこり60%が正社員といわれる存在。
⇒日本でいう非正規労働者の中の時給の人々の割合がアメリカではもっと高いということになるかな。ああこれが格差社会か。アメリカを舞台とする映画などで描かれる貧困な生活の数値化ですね。
⇒日本でも女性が割を食うことは問題とされ続けています。(ただし、あまり解決していません。ワンオペ育児や待機児童はまだまだ存在します。)
従業員の給料が上がればプライベートが充実して勤務先にポジティブな影響が及ぶ
コロナの影響で営業自粛をし、通常営業の再開に向けて企業は葛藤している
これまでの研究をもとに低賃金労働者にまつわる6つの誤解を解く説明をするという風に展開しました。
⇒確かに、収入の見込みが立つと絶たないではプライベート時間の使い方は雲泥の差ですね。精神面でも。
⇒このコロナの影響で離職した人が多かったからこそ、アメリカではこれを労働者の側がきちんと捉えて賃上げ要求のストを行い、大統領が(選挙対策でもあるが)スト現場に出ていくなど色々なことが起きましたね。日本ではそんなには起きてないが、合併に伴い文化を失いそうだということで西武そごうのストライキは大きく報道されました。
経営者の誤解1 「勤め続けたい」という低賃金労働者の思いに気付かない
経営者半分が自社の低賃金労働者の年間離職率が24%だとか50%を超えるとみている。
しかし、実際に離職する人に理由をたずねるとそれはどうしようもないマネジメントが原因である。
実は、勤続10年という人は全体の17%もいる。給与水準は低く 据え置かれているのに。
⇒なんか、経営者側の文化がずれてますよね。かたくなに給料を上げることはかっこ悪いことだという空気感。内部留保は増えているし役員の収入は多いのに。
経営者の誤解2 勤務地と安定度の重要性を軽視している
長く同じとこで働いている低賃金労働者へのアンケートで、なぜ同じところで働くのか?その理由は勤務地と安定度だった。
通勤で時間を取られないで済めば子育てや介護のような責任のある家事も楽になる。
転職は安定を損なう。
こうした低賃金労働者が感じる重圧に企業が気が付いていないか、否認している。
⇒たしかに、ここに住みたい。家から近い。そういうことが同じ勤務先にとどまろうとする傾向をつくる。
個人レベルでもそりゃ通勤に時間がかかると嫌だし危ないし間違いない。本当は地元で就職をして人格を尊重されて必要な時に遊びに行くお金もあれば地元を出る必要もない。
転職は失敗リスクがあるのに、企業は離職を迫るときに「転職支援をするから大丈夫」とか言いがちです。大丈夫じゃないです。
経営者の誤解3 労働者の善意を軽く見ている
経営者からみて報われないポストの人も意外なほど雇用主に肯定的であり、企業にとってかけがえのないものだと。
⇒まあそうなんですよ。辞めて新しい組織に入ってよほど良い職場で生活が安定して以前が非常に悪い職場だと判断できる場合を除いて、前の企業への帰属意識は強く残るんですよ。
⇒しかし、こんなに経営者に対するお叱りみたいな内容の記事を本当に経営者は読んでくれるのか、読みながらどんどん心配になってきます。ひたすらデータを使って勘違いを正そうとしていても、知りたいことしか知りたくない人はデータすら否認するからそこは心配になります。
経営者の誤解4 キャリアに関する話し合いの起点を労働者に委ねている
労働者のキャリアに関してのアンケートで、雇用主の多くが「労働者側がイニシアティブを取り」「上司と率直に話し合う」べきだと答えたが、低賃金労働者が率先して行うのは難しい。
労働者の33%が「組織内で昇進する機会はまったくありそうもない」と回答した。
たいていの組織のマネジメント層は低賃金労働者の志や優先事項を探り出すための話し合いをまったく計画していない。
⇒外資で働く場合はジョブ型で業務が定義されているから昇進は望めないだの、欧米で働く場合は言わないと昇進できない文化だのと言われてきましたがそのことではないでしょうか。そのうえ日本の職場では日頃から上司と部下の力関係の確認がずっと行われ続けますよね。
あと、部下を引き上げるメリットのない仕組では、マネージャーと2人部署とか既にリーダーがいて人数が固定されている部署では、人事をいじればマネージャー自身の無能が露呈するわけですから、何言ってもかわされますよね。
経営者の誤解5 低賃金労働者の戦略上の重要性を無視する
企業は高スキルを持つポストの人に関しては頑張って 人を引きつけ て繋げとげようとするが、低賃金労働者にはそれをしない。
キャリア向上に関する慣行を全社で実践しているか?と管理職に聞くと「している」と答えるが、最前線の労働者やスーパーバイザーにたずねると「実施されてない」「知らない」という風に答えるほどの食い違いが起きている。結局ほとんどやれてないじゃないか。
⇒確かに、働き始めた頃(筆者のキャリアは期間の定めのある非正規労働スタートです)、どういう風なキャリアがあるのか見当がつかなくて、結局@ITとかがんばって読んで、 昇進に必要そうな学習いろいろやったけど、その組織での能力開発について全く助言を受けなかったですね。
経営者の誤解6 メンターシップ、キャリアパス、学習や能力開発の指導の重要性を無視することで労働者を失望させる
1人のスーパーバイザーが受け持つ従業員(低賃金労働者)の人数は、33%が11~20人、11パーセントが21人以上ということで、この状態でメンターシップ、キャリアパス、学習や能力開発の指導といった取り組みが難しい。
⇒これは大規模なところでは起きてそうですね。単に、メンターシップ、キャリアパス、学習や能力開発の3つすべての重要性を理解して指導できるようになるように中間管理職を育てていない組織でしか働いたことないから、よくわかりませんね。
本題として、低賃金労働者のポテンシャルを引き出す
さあここから、ケーススタディのパートになってきます。
ディズニーのディズニーアスパイアプログラムでいくつかの州立大学と提携。フルタイムパートタイムスタッフに対しての教育投資行い、14,000人を超える時間給従業員がこれを利用。学士や修士の取得に向けて勉強している。
授業料・関連費用・教科書代をディズニーが拠出する。
プロフェッショナルとしての成長を目指し成功事例もある。
アトラクションの運営担当者はファシリティ部門の電機技師になった
店頭で働くマーチャンダイザーは本社チームと連携するグローバル人材オペレーションのアソシエイトになった
⇒日本だと千葉県にディズニーのリゾートがあるけど、アルバイトのキャスト(お店の人からキャラクターの魂である人まで)が千葉大に入学できればその学費を出してあげましょう!みたいなことはぜんぜんやってないですよね。それどころか、コロナでキャラクターの魂である人のシフトを減らして生活不可能な状況に追い詰めるなどの問題も見えてきたりして悲惨である。リージョンJAPANがやり甲斐搾取の国だとこうなります。
更に、低賃金労働者の前途を明るくするためにはトップダウンでこれを行え!という内容
(1)明確なキャリアパスを設けて周知する
(2)個々の従業員のために具体的な学習・能力開発機会を広報する
(3)メンターシップを提供する
求人の時点でウェブサイト上で周知が必要で、サクセスストーリーの紹介などヒントが示されている必要があるということ
⇒だからかもしれないけど、メンターシップの制度化の話が出る時というのは組織が荒れてる時という気がします。
経営者は従業員が直面する壁を知れ
Amazonの事例も出てくるけど、無視します。
トヨタ自動車のサプライヤーであるアバンサー・インテリア・テクノロジーズ(従業員 1500人以上)の副社長がある日、いつもより早めに出社すると駐車場で従業員が寝ていた。
非の打ち所のない出勤記録で知られる従業員は何ヶ月もの間ホームレス状態であるため、定時に出勤できていたことを知り、恥ずかしく思って改善に着手したということ。
⇒これを恥ずかしいという風にこの副社長が思ったのなら、まあ、いい人だということになりますよね。
日本だと「お前ひどいぞちゃんとしろよ」みたいなこと言って個人を助けて制度まではいじらず終わるじゃないですか。
大体、これに近い事っていうのは実際の話ありますよね。名ばかり店長は朝番と遅番を両方やらなくてはならず、駐車場の自分の車に寝袋を入れて寝ていたりという話。そしてそれが自己責任っていう。
当該副社長は臨時雇いとフルタイムの従業員にアンケートを実施。
回答者の16%が3ヶ月以内に「食料が足りるのか」「雨を凌げるのか」「生活費をまかなえるか」という3つの不安のうち少なくとも1つを抱えていたとわかり衝撃をうけたと。
離職率が高いので離職する人に理由をたずねると、通勤時間や育児関連の問題で勤続を諦める人の比率が43%に上ることも判明。
この後、従業員にアドバイスを行う制度への投資が行われるようになった。
メンターを雇い、トレーニングの選択肢や内部昇進の過程を従業員に説明するようになった。
このことで常習的な欠勤や離職率は低下し「ここで20年働き続けるのも夢ではない」と気がついた人に対してマネージャーに内部昇格させれば、人材市場からマネージャーを探してくる必要もなくなると語る。
⇒相当ひどい状態だけど、これをひどい状態だって思える人が副社長で本当に良かったですよね。なんでそんなにできた人が副社長の地位につけたのかはとても疑問がありますけど。そのくらいこの社会は世知辛いという風にとらえております。
小規模の企業は複数の企業で共通のシステムを作れ!
「ザ・ソース」という複数の小規模企業によるグループの従業員を支援する仕組みを作って、雇用のアンケートとキャリア向上に重要な6つの分野食料・通勤・家計・家族の健康管理・子供の教育費に関する指導と支援を最前線の従業員に提供する事例の紹介。
「ザ・ソース」が3回支援したら1人の雇用を守ったとみなす。 1人分の雇用を守る価値は3000ドル以上という風にして「ザ・ソース」に会費を払った場合、投資のリターンは平均で200%を超える。
⇒この記事も「大手はできるんだろう?うちは規模が小さいからできねえよ」という言い訳を潰しに来ています。この、従業員の生活まわりのことも見ていくことを企業がやり始めているということですね。おそらくアメリカにはあまりない福利厚生の仕組みを兼ねている感じがします。
経営者は「最前線で働く人たちは嫌な仕事をしているからすぐやめるんだ」と思いこまず認識を改めてください!という感じでこの記事はしめられていました。
⇒経営者たちはこれだけお叱りの内容が多い記事を最後まで読んでくれたのでしょうか。心配です。
特集2の2記事目 グッドジョブ・システムの構築
「グッドジョブ・システム」というのは、現場の離職を防ぎ高業績を実現する仕組みのことで、これを推奨する記事。
対する「バッドジョブ」は低賃金で勤務 スケジュールが予想できなくて昇進の機会がほとんどない仕事。
筆者は非営利組織グッド・ジョブズ・インスティテュートの代表。経営者は説明すればグッドジョブ・システムの利点を理解できる。どのようにしたらグッドジョブ・システムを導入できるのか、経営者の誤解をといて実践例を紹介する内容。
⇒グッドジョブ・システム、あるといいですね~。
実は、グッドジョブ・システムを入れても入れなくても業績を向上させることが可能である
従業員の賃金を上げることはESG投資のようにみられて株主の反感を買うが、実際は企業を競争優位になるために行う投資である
2015年の10月 ウォルマートが「時給を上げる」と発表をした時に株価が10%下がったが永続するものではなかった
グッドジョブ・システムを入れた企業とそうでない企業では経営者のメンタルモデルが異なる。前者は従業員が非常に重要であるというメンタルモデルをただ持っている。これによって顧客対応で最良の結果を出して価値を創出できる。離職率を下げないとオペレーションを確実に実行できないという風に考えている。
グッドジョブ・システムは財務分析上はメリットがみつけられない。ビジネススクールで教えている内容の外にある。財務分析は過去のデータを使って現状を最適化するためには役立つが、イノベーション阻害の要因になることもある。
経営者が分析すべきは、最低賃金を12 ドルから15ドルの引き上げると、意欲の高い従業員からどのような利益を得られるのかをリスト化すること。従業員の退職に伴う直接的コスト、欠勤、ミス、劣悪なサービスなど間接的コストを計算すると時給の引き上げに必要なコストが無駄ではなく見えるようになる。
利幅が大きく低賃金労働者の賃金がコスト全体に占める割合が小さい企業にとっては小さな賭けだが、そうでない小売り店などの場合、経営者にとってかなりの賭けになる。しかし「顧客がどうしてもこのお店で買いたい」と思うようになるためには、従業員への投資が必要だ。
導入と浸透するまでの時間には不安があるかもしれないが すでに 従業員は 過重労働に陥っていて現場では ミスが生じやすい状態になっている。
このまま最低賃金が上がっていった場合、労働市場の人材も顧客もグッドジョブ・システムを採用している企業を選ぶ。そうなったときの競争優位のためにも賃上げが必要だ。
⇒データ分析の限界を教えてくれるのはいい。これまで、データ分析にも手を出してきたが、従業員満足を最も向上させるのは企業内ブランディングやパーパスの充実であって賃金ではないということがわりと神話のように言われていたので、仕方がないのかな?と思っていた
⇒スタートアップを真似して新事業をたてているのに中核事情の弱体化を招いてしまったケースもあったというエピソードも興味深かった。
特集2の3記事目 小売店の賃上げをどのように行ったのか
ウォルマート傘下の倉庫型小売店サムズクラブが従業員の賃上げを実現できた理由を説明する記事。
従業員の平均賃金が31%上がった後、「友達にここを職場として勧めたいか?」という質問に肯定的に答えた人の割合は440%に急増した。
大きく分けてと変革の概要は6つ
専門的な役割からゾーンディフェンスというワークグループへ変更。部門横断的なクロス トレーニングを受け商品フロアのどこでも仕事ができるした。
ブロックスケジュールへ変更。何曜日であっても 何週目であっても自分のスケジュールが分かっていてそれに合わせて生活の予定を立てられるので、ワークライフバランスを整えられるようになった。
品出しを夜から日中に移した。会員と接する従業員を増やし、品出しと 開店準備をやりやすくした。
手作業による棚への品出しを減らしパレットによる品出しにした。
従業員向けアプリを導入した。パーソナルアシスタントアプリで商品の価格や場所や在庫情報を調べることができるようになった。アプリにはフィードバックの機能を組み込み、エクスペリエンスチームでこれを分析するようにした。
賃金。従業員への投資として賃上げ。賃上げを最初に実行したのは2019年の6月 この時に従業員たちが感謝の涙を流してくれた。
変革の順序は、品出しの工夫で例外対応や接客のための時間を増やし、売り場全体のカバーをできるようにして1つのエリアの専属になる必要はありませんとアナウンス。それをしやすくするためアプリを開発した。
これ以前は従業員は、品出し・整頓・清掃に追われ、アプリの代わりにバインダーを持って移動していた。また例えば、アプリのおかげでタイヤコーナーは顧客に対して最適な商品を発見までに要する時間が20分から2分に短縮され、顧客体験も向上した。
経営側はこの変革にはもっと抵抗されると思っていたがフィードバックを見ていると、「経営側は現場を気にしている」と認識されている内容になっていた。
長年勤務する従業員に新しい機能を採用してもらうのは新人に同じことをしてもらうよりはるかに簡単。「あ、これを使えばこんなに簡単にできるようになる」という反応を示す。
⇒他店と価格競争をしながら賃上げすることが成り立つのはすごいですね。
⇒日本の経営者では本当にこの記事を読んでくれているのでしょうか。疲れていて知りたいことしか知りたくない人は最後まで読まないのではないかと不安になります。
ということで1冊読むのに記事3回分かかるんですね。でも、続けていきましょう。