大西洋岸森林で過ごす休日 布施直佐 月刊ピンドラーマ2023年2月号
1月はサンパウロ州沿岸部の観光地はどこも雨が多いため、ビーチではなく大西洋岸森林(Mata Atlântica)の自然と触れ合える貸し山荘で休暇を過ごすことにした。行き先はサンセバスチャン市ボイスカンガ(Boiçucanga)。チエテ・ターミナルからバスで4時間半の所にある。
ボイスカンガのターミナルから宿泊所まで宿の人が車で送迎してくれ(有料)、途中、スーパーと魚屋に寄り自炊用の食材とミネラルウォーター、炭等を買う。
大西洋岸森林の入口から舗装されていないデコボコ道を車でゆるゆる15分ほど上り、道をさえぎる小川の手前で降りたすぐ先に“夢の家(Casa dos Sonhos)”がある。二人用の貸し切りの家で、自炊用のキッチンの他に、バーベキューコンロ、ジェットバスがある。バススペースは透明なビニールシートで三方を囲まれており、大西洋岸森林の緑を満喫しながら入るお風呂(加えて日本から持参した入浴剤を入れた)は心地良いことこの上ない。
夜はコオロギやキリギスの鳴き声を聞きながら気持ちよく眠りに落ち、朝まで熟睡した。
翌朝は雨が降っていないのを幸いに、ぬかるんだ山道を30分ほど登り、小さな滝 Cachoeira Rio das Pedras を訪れた。高さ7、8メートルほどの優しい滝で、冷たいのを我慢して水に全身を浸すと体中の細胞が覚醒するのが感じられた。
お昼は魚屋で買った Corvina を庭のバーベキューコンロで炭火焼きにして美味しくいただいた。食後、庭の木に吊るしたハンモックに身を横たえ、色鮮やかなハチドリが真っ赤な花の蜜をついばんでいるのを眺めているうちに寝入ってしまった。
3日目は、朝から激しく降っていた雨が午後、小休止した時間を利用して宿のまわりをブラブラと散策した。森林にはさまれた道の両側には、広い敷地に建てられた個性豊かなデザインの家がポツンポツンと建っているが、人の姿はあまり見かけない。ふと足元を見ると日本では見たことのない種類のクワガタがよちよちと這っている。子供の頃だったら絶対家に持ち帰って大切に飼育しただろうな、と思う。
4日目は晴天に恵まれ、宿の人が勧めるビーチ Praia de Boiçucanga に車で連れていってもらった。全長7、800メートルほどのこじんまりしたビーチで、観光客は少なくバールやレストランもないので静かな環境で日光浴を楽しむことができた。
昼食は同じく宿の人お勧めのレストラン Taioba Gastronomia (宿に向かう道の入り口にある)に行き赤魚のグリル焼きと海の幸のパエリアを注文した。市の中心街から離れた所に位置し、値段もかなり高目にも関わらず常にお客で一杯なのは、フランスで修行したオーナーシェフの匠の技の賜物だそうだ。
翌日、軽く昼食を済ませた後、車でターミナルまで送ってもらい(ターミナルに着いた途端どしゃ降りの雨が降り出した)、サンパウロへの帰路についた。
月刊ピンドラーマ2023年2月号
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