
「どこからともなく/どこへともなく」 ポルトガル語ワンポイントレッスン リリアン・トミヤマ 2021年8月号
#ポルトガル語 ワンポイントレッスン
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#リリアン・トミヤマ 文
エル・パイス誌(El País)でとても興味深い記事を読みました。「ある人が他の人よりも上手に歳を取るのはなぜか」というタイトルです。この記事の中で記者は、COVIDワクチンの副反応は発熱以外に頭痛があると述べていますが、それは自分と同じ年齢層の人を行列の中で見ることによって起こる心理的な病かもしれないとのことです。つまり、ブラジルでは年齢によってワクチン接種の日が決められているので、無意識的に行列の中で人を見て比較しているのです。「私、あんなにひどいかしら?」とか「あいつはオレよりずいぶん若く見えるなあ」とか。笑えるなと思いましたが、私はドライブスルーでワクチン接種したのでハッピーになりました。ハハハ…
ただ、ブラジル人は見栄っ張りなので、この記者の分析は意味があるなと思いました。ところで、私にとっていつもとても気になる習慣は、多くの人が香水をつけすぎることです。強い香水をつけた人とエレベーターに乗り合わせると、エレベーターを降りた後もその匂いがまだ自分についているみたいな気がします。また、レストランに行って、近くの人が強い香水をつけていると、素晴らしい料理や特別な飲み物の香りに集中できなかったりします。パンデミックのせいでこの習慣はだいぶ少なくなりましたが、状況が好転するや否やまたつけすぎの香水の匂いを感じるようになることでしょう。通りや、エレベーターや、店や、その他の場所で。
匂いについて言うと、ポルトガル語で次のような文をどう言うでしょうか。
「どこからともなく、バラの甘い香りがただよってくる」
「どこからともなく」は「não sei de onde」と言います。
そうすると、前述の文はこうなります。
Não sei de onde exala o aroma doce de rosas.
(どこからともなく、バラの甘い香りがただよってくる)
つまり、誰か/何かが突然現れるが出所がわからない、どこから来たかわからないということを示すために、「não sei de onde」を使うのです。
例を見てみましょう。
Não sei de onde ele apareceu.
(どこからともなく彼は現れた)
Não sei de onde esse cheiro vem.
(どこからともなくその匂いがやって来る)
Não sei de onde o carro veio.
(どこからともなく車が来た)
反対に、知らない場所へ行くときは、こうなります。
「どこへともなく」=「Não sei para onde」
Não sei para onde o pássaro voou.
(どこへともなく鳥が飛んでいく)
Não sei para onde ele partiu.
(どこへともなく彼は発った)
今月もお読みいただきありがとうございました。今月は歳を取る話から始めましたが、ブラジルの女優スザーナ・ヴィエイラ(Susana Vieira)の面白いエピソードを思い出しました。若い頃は、その美しさのために、ドラマのヒロイン役を多くこなしました。78歳の今でもミニスカートやローブ・デコルテを着て、爪を長く伸ばしています。ある時記者がききました。
「若い娘のような恰好をして恥ずかしくありませんか?」
「私は自分が老人の恰好をしているのでも、娘の恰好をしているのでもありません。スザーナ・ヴィエイラの恰好をしているのです」
リリアン・トミヤマ(LILIAN TOMYAMA)
USP(サンパウロ大学)卒、ポルトガル語学・言語学専攻、ナンシー大学(仏)卒、フランス語学・文学の専門家でもある。
lilidomi@uol.com.br
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月刊ピンドラーマ2021年8月号
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