
「好きじゃないわけじゃない」 ポルトガル語ワンポイントレッスン リリアン・トミヤマ 月刊ピンドラーマ2021年5月号
#ポルトガル語 ワンポイントレッスン
#月刊ピンドラーマ 2021年5月号 HPはこちら
#リリアン・トミヤマ 文
ロベルタ・マセーナ(Roberta Mascena)という学生が、今年、とても美しい行為によって全国に知られることになりました。彼女はサントス・メトロポリタン大学で4年間教育学を学びました。貧しい家庭の出身で、母親は家政婦をしながら多大な犠牲を払いながら娘の学費を払いました。卒業写真撮影の日、フォーマルなドレスを着るほかの女子学生と異なり、ロベルタは母親に敬意を表して、母親の家政婦のユニフォームを着るという選択をしました。
私個人としては、彼女の行為の美しさに大変感動しました。パンデミックによる悲しいニュースばかりの今、このニュースはすべてのブラジル人の心を温めたのでした。
ただ、ニュースにしてもほかのことにしても、いつもみなの意見が一致するというわけではありません。必ずしもみなが好きなわけではないという物事があります。これが今月のテーマです。
「好きじゃないわけじゃない」をポルトガル語でどう言うでしょうか?
「Não que eu não goste, mas....」と言います。
例を見ていきましょう。
最初の例はポルトガル語の基礎レベルの方用です。
AとBが話しています。
A: Você não gosta de omelete?
(オムレツ好きじゃないの?)
B: Não que eu não goste, mas prefiro ovo frito.
(好きじゃないわけじゃないけど、目玉焼きのほうが好きだな)
次の例は中級以上のポルトガル語です。
CとDがどの映画を観るか選んでいます。
C: Eu quero muito ver este documentário.
(このドキュメンタリーすごく観たいんだけど)
D: Não que eu não goste de documentário, mas estou cansada. Vamos ver uma coisa mais leve? O que você acha de uma comédia romântica?
(ドキュメンタリーが好きじゃないわけじゃないけど、疲れてるからさ。もっと軽いの観ようよ。ロマンティック・コメディーなんかどう?)
コメディーと言えば、マザロッピ(Mazzaropi 1912 - 1981)をご存知ですか? ブラジル最大のコメディアン兼映画製作者のひとりです。彼が創ったキャラクターはカイピーラ(※簡単に言うと田舎の農民)「ジェカ・タトゥー(Jeca Tatu)」(※筆者紹介の下に動画があります)といい、大成功しました。Google Brasilからも賛辞を贈られています(先月生誕109年を祝ってDoodleも作られました)。TVクルトゥーラ(TV Cultura)のサイトによると、マザロッピは映画を作って百万長者となったブラジル唯一のアーティストだそうです。
でも、マザロッピの映画が好きかときかれると、私は間違いなくこう答えます。
「Não que eu não goste, mas....」☺
ただし、認めなければならないことがひとつあります。マザロッピのとても美しい言葉があって、なにか悲しい事や大変な事があると私はよく思い出します。それをみなさなんと共有したいと思います。
「悪いことが起こってもそれはすべてただただ私たちの人生を良くするためなのだ(Tudo que acontece de ruim, é só para melhorar a vida da gente.)」
リリアン・トミヤマ(LILIAN TOMYAMA)
USP(サンパウロ大学)卒、ポルトガル語学・言語学専攻、ナンシー大学(仏)卒、フランス語学・文学の専門家でもある。
lilidomi@uol.com.br
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月刊ピンドラーマ2021年5月号
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