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このパンデミックの中で 超高級ホテルで過ごす週末 青木遼 月刊ピンドラーマ2022年4月号

#旅行
#月刊ピンドラーマ  2022年4月号 HPはこちら
#青木遼  文・写真

このパンデミックが長引き遠出ができず、サンパウロにずっといてもつまらない方々に、今流行りの優雅な時間の過ごし方をお勧めします。一日高級ホテルに泊まり、ご主人は仕事・オフィスワーク、奥様はお散歩・TeaTime、子供はプール等、生活に変化をもたらしてはいかがでしょうか。今回はサンパウロ市内の話題のホテル、パラシオ・タンガラと、少し郊外のマイリポランの超高級ホテル、ウニッキ・ガーデンをご紹介!

◆パラシオ・タンガラ Palácio Tangará

Palácio Tangará

モルンビー地区の自然保護区Burle Marx公園内にあるこの高級ホテルは、ネオクラッシック様式の建物。2017年5月にオープン。

 “マスターピース(傑作)”に値するホテルだけが加盟を許されたドイツの「オトカーコレクション Oetker Collection」に加盟。バルコニーが付いた客室は周りの森と調和して、とても静かで優雅な雰囲気。Tangaráという名前は鳥の名前で、フウキンチョウ科に属し、全部で27種あるという。名前はトゥピー語で「ダンサー」を意味する。レストランのシェフ、フェリッペ・ロドリゲスさんは腕も超一流。15時から始まるTea Timeのお菓子も美味しい。

サンパウロの町中で、このような閑静な場所があるとは驚きだ。

一泊二日でも、優雅な時間を満喫してみては?

ロビー

◆マイリポラン市へ

サンパウロから一時間半ぐらい、アチバイア方面に走るとこの町マイリポランがある。サンパウロに住んでいる人で、ここに別荘を持っている人も多い。サンタナ方面から抜けると緑の多い森やカンタレイラ州立公園を通りこの町に入る。カンタレイラ山脈 (Serra da Cantareira)は、サンパウロの水の供給源となっている。マイリポランはこのカンタレイラ山脈の町。

このマイリポランの入口のポルトン(大きな戸)の近くに、小さな集落オ・ベリョン(O Velhão)がある。その地域の有力者のMoacyr Archanjo dos Santosさんが、1979年に創立した集落(Vila)である。バーや土産物屋、レストランが立ち並ぶ。娯楽の少なそうな場所で、日曜日にここでゆっくり食事するのは楽しみかもしれない。一人分62レアルだという。お得かも。若い人たちで大行列の人気レストランは、休みの日には800人の客が入る。珍しい果実酒やカサッシャを買った。

このポルトンの近くに住む木工の芸術家Claudio Venerantoさん。ジャケイラの木や、ペローバ・ローザの木で2メートルを超す一木造りの大作を彫って展示・販売しておられる。「家族」とか「妊婦」の名の付く見事な迫力の作品。ベレンから取り寄せた小さな木工品や玩具も売っておられた。

Claudio Veneranto

◆ノッサ・セニョーラ・ド・ロザリオ大聖堂

Basílica de Nossa Senhora do Rosário

ここから少し走ると、この山脈の頂上にバジリカ・デ・ノッサ・セニョーラ・ド・ロザリオ(Basílica de Nossa Senhora do Rosário)という大聖堂がある(カイエイラス市)。知る人は少ないが見事な大聖堂である。2006年10月に建設され始め2年後に完成。パリのノートルダム大聖堂やサント・シャペル等のゴシック建築に触発されて作られ、建物の高さは60メートル。荘厳、華麗、ステンドグラスが美しい。マリアの絵やイエス像もある。大聖堂の隣には、世界中の国の神学校やグループのメンバーを受け入れるための講堂や宿泊施設がある。見学者にも信徒が着る白衣が提供され、見学者は全員にわか信徒になる。日曜日にはグレゴリオ聖歌が演奏される。一般の見学は日曜日のみ、9時から受け入れる。

◆ウニッキ・ガーデンホテル Hotel Unique Garden

サンパウロ市内ブリガデイロ・ルイス・アントニオ大通り4700番にあるスイカを割ったような、モダンなホテルの姉妹版がこのホテルである。昨年亡くなったルイ大竹の設計と言われる。

マイリポランの中心部から20分ほど車で走るとこのホテルに着く。大きな門戸を抜けると総合受付があり、シャンパンや香草入りの水が用意されている。ちょっと一息。入口には花で囲まれた大きなツリーが聳えている。受付のテーブルは特別に作られた材質のどっしりとした木のテーブル。そこで手続きをして各自の部屋に入る。このホテルはとにかく草花がいたる所にあり、緑の豊かな環境にある。

ロッジ Vila Mediterrânea

Vila Mediterrâneaというロッジは大きな花壇の中にあるような造り。14室もあるだろうか。この壮麗なホテルは、毎日従乗員が150人ぐらい働いているという。そのうちの35人は、近郊のサンパウロ、アチバイア、マイリポランからきている庭師だそうだ。ゆえにこの美しさは保たれているのだろう。広大な敷地の中に“白鳥の湖’’と名のついた池やテニスコート、プレイグランド、プール、スパの施設、それぞれのテーマの名がついた庭園、トミエ大竹と名のついた東洋風の庭等もある。

車で乗りつけた人のためにChalé Cristal、Chalé do Golfe、Chalé do Lagoという開放的なシャレーもある。他に客室にはVila Contemporaneaという名の部屋もあり多岐に散在している。この閑静な緑陰の中でぼお~としていても十分に保養になる。命の洗濯になる。山里の中ではあるが、Wi-Fiはきちんと使える。1980年代はシティオ(別荘)として使われ、2005年にホテルとなった。リトアニア人のヴィクター・ソアレス所有のホテル。敷地内の一角にこのヴィクターさんを記念し、その来歴を集めた聖所 Santuária Victorがある。小さな博物館のようで井戸などもあり、創始者のヴィクターをたたえている。その娘のLaraさんの赤ちゃんの時の写真や時計、ノスタルジックな展示物が並んでいる。

夕食は瀟洒なレストランで。とりどりのお酒が並んだバーがあり、魚料理にはハーブが添えてあり、美味。即日の朝食のサラダには、5種のドレッシング(モーリョ)が用意されており、ブラジル式の豪華な朝食。翌朝ハーブ園や畑を見学。庭園内には、小さな滝や橋、欄干もあり、ヨガの瞑想をする茅葺の小屋もある。ハーブ園には、カッピン・サント、ミント、エルバ・ドーセ、ラベンダー、アレクリン、マジリコン、ジャスミン、カフェなども植わっており、案内のガブリエル君は一つ一つ千切って、香りを確かめさせ(嗅がせ)、香草をくれる。いつの間にかハーブが集まり、これを大事に家に持ち帰る。すると二日分の夕食に早変わり。オムレツとスパゲッティ。旅先の香りが楽しめた。このホテル内には装飾品もさながら、所々にある椅子がそれぞれ詩情がある。木の椅子、カネの椅子、糸で編んだ椅子。

朝食のサラダ

とにかく、一泊してこの最高の天上界の雰囲気を楽しむと良い。現世を忘れ、極楽である。

◎インフォメーション

Palácio Tangará
HP :
www.oetkercollection.com/pt/hoteis/palacio-tangara/

Basílica de Nossa Senhora do Rosário
Tel : 11-48994-3100


​Hotel Unique Garden tel 11 4486 – 8700
HP :
www.uniquegarden.com.br
予約 
reserve@uniquegarden.com.br

青木遼(あおきりょう)​
旅行好き。
知らない土地に行き、エトランジェ・異邦人の異空間を楽しむ。
滞在歴30年を超える


月刊ピンドラーマ2022年4月号
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